2022 Fiscal Year Research-status Report
建造環境と投資開発・行政・地域住民の志向性と関係性のダイナミズムに関する研究
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22K01899
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
田中 志敬 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(総合グローバル), 准教授 (80612407)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 建造環境 / 空間変容のダイナミズム / 都心コミュニティ / 都市問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では京都市を中心に建造環境の変遷における投資開発サイドと行政サイド、コミュニティ及び都市住民サイドのスタンスが相互的にどの様に影響を与え、変化していったのかのダイナミズムを明らかにすることを目的としている。 今年度は、第一に京都市の行政サイドのダイナミクスを捉えるために、京都市の建造環境を左右する「新景観政策」等の都市計画関連の政策変容の調査分析を行った。第二に住民の居住動向を把握するために、京都市公表資料や、社会統計および地理情報システムを用いて、京都市の転出入の実態や、京都市および京都市近郊の人口分布の調査分析を行った。 第一の京都市の政策動向に関する調査分析では、京都市行政は、開発と抑制のスタンスの中で、都心部へのマンション建設等の増加を背景に、都心商業地区を中心に開発抑制型の政策を打ち出してきたが、ホテル等の他用途の土地利用が増大する中で住宅用途分の不足が生じ、都心部および市全体の人口が減少したため、開発の部分的容認のスタンスにシフトしつつある点を明らかにした。 第二の社会統計や地理情報システムの調査分析では、上記の人口減少の背景として、若者(大学卒業)層の大阪や東京および関東への人口流出、子育て層の滋賀県や京都府南部の近郊市町への人口流出が明らかになった。加えて、学歴別人口割合の分布の調査分析では、京都府南部は京都市郊外と同様の中学歴層の人口割合が高い分布傾向が明らかになり、滋賀県の大津駅や南草津や草津駅周辺は京都市都心部と同様の高学歴層の人口割合が高い分布傾向が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、統計資料等の調査分析を中心に行い、インタビュー等と異なりコロナ禍の影響はほぼ受けなかったため順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、統計調査や地理情報システムおよび住宅地図調査等で、建造環境および社会構造の変化を可視化していく。また行政や住民等の対応についてインタビューやドキュメント調査を実施していく。
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Causes of Carryover |
土地利用変遷の調査を、1年目から2年目に回したため。そのため上記調査にかかる地図等の購入費用として今年度の使用を予定している。
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