2023 Fiscal Year Research-status Report
在日ムスリム留学生・労働者の不安・困難と適応及び企業のムスリムマネジメント解明
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22K01900
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
仙石 祐 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 講師 (90829160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 浩一 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (20507438)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ムスリムマネジメント / コンフリクト |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は,ムスリムを受け入れている企業の日本人従業員を対象に前年度実施した聞き取り調査の内容を精査し,ムスリムマネジメントとコンフリクトの類型化を行った.まずムスリムマネジメントを「食べ物やお祈りなどに代表される,必ずしも日本の一般的な文化・風習と相容れないムスリム独自の文化・風習に関し,彼らが働く日本の企業側が,組織的にハード上もソフト上も対応し,彼らが働きやすい環境を形成する努力を行うこと」との定義を与えた.さらにムスリムマネジメントをハード系とソフト系に分類し,前者に食堂やお祈り部屋・敷地内のモスクやお祈りのための手洗い場整備などを挙げ,後者に上記施設を利用するための勤務時間中の配慮や短期的な対応ではない導入の試行錯誤,また他の宗教への配慮も平等に実施することなどを挙げた.また代表的なコンフリクトとして,お祈りの時間による労働上の不都合やラマダーンでのパフォーマンスの低下などが見出されたが,宗教的な原因に帰することができるものか,民族的あるいは個人的なものに帰することができるものか,判断が難しいものも一定量あることを確認した.上記の研究結果は,留学生教育学会の研究大会において「海外の現地法人でムスリム従業員とともに働いた日本人従業員の経験から得られた知見 -ムスリムマネジメントとそのインパクトを中心に-」として発表した. なお上記のデータは,比較的ムスリムマネジメントが成功し,大きなコンフリクトが少ない企業の例であるため,ムスリムマネジメントがあまりうまく行かず,何らかのコンフリクトが生じたデータの収集を行うべく,対象となる中小企業やムスリム労働者へのコンタクトを試みた.また将来「ムスリム労働者」となる,日本で学ぶ(あるいは学んだ)ムスリム留学生へのアンケートを実施するため,こうした学生団体へのアプローチを開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本人従業員へのインタビューとその分析は順調に進んだが,ムスリム留学生へのアンケート調査の開始が令和6年度になる予定だから.
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Strategy for Future Research Activity |
ムスリム留学生(及び元留学生)へのアンケート調査とその質的量的分析.
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Causes of Carryover |
ムスリムマネジメントで困難を抱える中小企業やムスリム労働者への調査が遅れたため.令和6年度は,こうした調査に加え,ムスリム留学生調査に助成金を使用する.
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Research Products
(1 results)