2023 Fiscal Year Research-status Report
軍事クーデターはビルマ系難民の移住戦略をどう変えるか―ポスト難民期から再難民期へ
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22K01912
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
人見 泰弘 武蔵大学, 社会学部, 准教授 (10584352)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ビルマ系難民 / トランスナショナリズム / ディアスポラ / 権威主義国家 / 越境的抑圧 / 出移民政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画二年目は、以下の研究を遂行することができた。一つ目は、日本における難民研究の研究動向を整理し、日本社会への難民の社会統合過程の解明に力点を置く難民研究から、グローバルな文脈に接合した日本をフィールドとする難民研究へと重心を再配置することを提唱した研究論文の発表である。非移動性(Immobility)の中の移動性(Mobility)、難民受入国及び出身国における社会的境界と同一化・差異化のメカニズム、複数社会への帰属の同時性という国内の難民研究では未着手な研究課題を提案することができた。現在取り組んでいる研究課題である難民研究とトランスナショナリズム研究の接合を行い、学術的意義を整理することができた。 上記とも関連し、二つ目に、難民研究やトランスナショナリズム研究でも手薄であった権威主義国家による出移民政策論・ディアスポラ政策論に関する研究報告を行ったことである。移民送出国による海外労働者派遣やその管理を行う出移民政策とは異なり、軍事政権や独裁政権など難民流出を伴う権威主義国家の場合、出身国政府が政治体制の安定や治安の確保などを目指し、難民を含む海外同胞を支配及び統治する出移民政策が実施される。海外同胞に対する支配及び統治の形態に着目する越境的抑圧論の視点を援用し、滞日ビルマ系難民の政治行動に対して出身国政府が強権的な抑圧と服従化、プロパガンダなどを含む正当化等の手段を用いてそれらを統治すべく試みてきたことを指摘し、難民の移住戦略に対する出身国側の「上から」の介入の実態を明らかにすることができた。 また研究報告等の研究成果の発表と並行し、フィールド調査も継続的に実施することができた。すでに次年度の研究を遂行するための準備にも取り掛かっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はトランスナショナリズムの研究アプローチを展開することで、難民研究の新たな課題と出身国側からの難民に対する越境的関与を明らかにし、難民研究とトランスナショナリズム研究との接合を行うことができた。またビルマ系コミュニティでのフィールド調査や難民関連のイベント参加なども継続的に実施しており、次年度以降も調査研究を進めていく所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
難民出身国側からマクロレベルで難民の移住戦略に与える影響の解明に取り組んだことをふまえ、次年度は難民当事者や集団レベルの動向の解明に軸足を置いて研究を進める予定である。引き続き、先行研究を徹底的に検証するとともに、今後の研究遂行に不可欠なフィールド調査を継続的に実施していく。
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Causes of Carryover |
各種イベントの開催や遠方での調査研究が限られたことで、次年度の未使用額が生じることになった。未使用額は、2024年度に資料購入費や調査旅費の一部として執行する予定である。
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Remarks |
人見泰弘、2023年「共に働く人たちのいま一つの素顔――出身国側からみた海外労働者派遣をめぐる期待と不安」『多文化共創とコミュニティ 第Ⅳ部 ライフサイクルの視座―Global AwarenessとWell-being』(https://www.clair.or.jp/tabunka/portal/column/contents/116682.php)
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Research Products
(2 results)