2022 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ教授場面における指導者と選手・生徒の相互行為分析
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22K01932
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
渡 正 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (30508289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 貴裕 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (00621731)
中田 学 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20773617)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | エスノメソドロジー / 相互行為分析 / チュートリアル / 子どもに合わせた指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、図書予定では、エスノメソドロジーの方法論の習熟と既存の体育科教育学・コーチング学などの課題を導出することが研究計画上の目的となっており、国内外の文献を収集し、エスノメソドロジーの方法と教科教育学での行為分析の違いを検討し、本研究の分析の視座を明確にすることが目指された。 そのため本年度は、研究分担者とともに、エスノメソドロジーを始めとする相互行為分析に関連する文献の勉強会を定期的に実施してきた。またこの他に、研究代表者や協力者以外に、エスノメソドロジーの専門家を招聘して、その知見や我々が進めてきた事例についてデータセッションの研究会を行った 本年度では、理論的な知見の検討以外に、すでにデータを収集していた2つの事例を対象に、予備的調査・分析として、相互行為分析を実施した。その事例は、1つは、放課後等デイサービスにおける知的・発達障害のある児童への運動指導場面と、もう一方は、同じく放課後等デイサービスにおいて展開されたインクルーシブなスポーツを目指した運動プログラムの実施場面であった。 前者において、その分析を進めた結果、障害児に対する既存のコーチング・体育指導で頻出する「こどもに合わせた指導」の内実を明らかにすることができた。特にそれは子どもへの肯定的なフィードバックが特徴的な位置に置かれる構造をもったものであることが判明した。これは、これまで単に「こどもに合わせた指導」と呼ばれてきたものがいかなる特徴をもった相互行為であるのかを明らかできたといえ、初学者や障害児の指導を始めたばかりの人々にとって、わかりやすい指導ポイントを提案できるための大きな知見であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において2022年度は当初の研究計画に従い、中心的な視点であるエスノメソドロジーの習熟に力を入れることができた。ただし、もう一つの課題であった、体育科教育学・コーチング研究などの社会学で扱われる以外の相互行為場面の分析手法については、当初計画よりも、その習熟および批判的検討が遅れている部分がある。 その一方で、当初予定していなかた、実際の指導場面の相互行為分析については先行的に実施することができており、一定の知見を生み出すとともに、2023年度以降の計画で予定されているデータの収集・分析にいたる一連の流れを予行できている点は、計画以上の進展を見せている。 以上のことから、本研究課題の進捗はおおむね順調に推移していると評価している。2023年度は、競技スポーツ場面と体育授業場面のデータ収集を中心に、先行的にビデオデータの分析と成果発表を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は当初計画においては、スポーツ教授場面のビデオデータの蓄積を主とする年度である。その計画に従って、競技スポーツの指導場面と体育授業の指導場面のビデオデータを蓄積する予定である。すでにトップレベルの大学バレーボール部や民間テニスクラブ、パラスポーツの練習場面のデータ収集については、対象とコミュニケーションを取り進めているとことであるため、研究を計画どおり推進できる予定である。また、体育授業場面については、現状対象者と交渉を始めているところである。 また2022年度の課題であったエスノメソドロジー・体育科教育学・コーチング研究における相互行為分析の習熟については、引き続き必要だと考えられるため、研究会などを開催し、専門的知見を積み重ねていく予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度の使用について旅費交通費での使用を予定していたが、当初参加を予定していた日本体育・スポーツ・健康学会が研究代表者および分担者が所属する大学での開催のため、旅費が発生しなかった。日本アダプテッド体育・スポーツ学会についても研究代表者のみの出席となっため、旅費が発生せず、研究分担者に計上した旅費10万円ずつ2人分の金額が生じた。 2023年度は、データ収集および成果発表のための交通費や、必要となる備品およびデータセッションのため専門家を招く費用などを計上し、適切に使用していく。
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Research Products
(6 results)