2023 Fiscal Year Research-status Report
外国人DV被害者とその子どもへの支援における国際連携プラットフォームの構築
Project/Area Number |
22K01966
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
寺田 貴美代 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70352680)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | DV被害者支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本では、配偶者暴力相談支援センターに寄せられるDV相談件数が過去最多を更新し続けており、外国人においてもDV被害が急増している。しかし、専門的対応が必要な場合も少なくないため、外国人被害者への十分な支援体制は確立しているとは言い難いのが現状である。そのため本研究は、外国人被害者と子どもの被害実態と、支援上の課題を明らかにした上で被害者支援体制を構築し、長期的かつ多面的対応が可能な支援プラットフォームを開発することを目的としている。 2023年度の研究においては、研究代表者および研究協力者が2022年度の研究までにおいて形成してきた、地域ネットワークと、国際機関の連携による支援ネットワークを活用し、DV被害者支援に関する現行制度の問題点や、支援上の諸課題について抽出した。そして、多文化ソーシャルワークを用いた被害者支援体制について検討した。これらの調査結果から、DVと児童虐待が重複しているケースや、国際人身取引の被害者でもあるケース、再発防止のために加害者対応が不可欠なケースなど、専門的対応が必要な場合も多く、従来のような支援方法では対応が困難となっているケースの存在が明らかとなった。そのため、これらのようなケースに対応するためには、被害者一人ひとりの多様性や個別性への配慮を一層強化する必要性があることや、より高度な専門性を備えた支援を提供できるようにするための支援体制の強化が求められていることを明示化した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマである「外国人DV被害者とその子どもへの支援における国際連携プラットフォームの構築」は、2022年4月から開始した研究であり、国際研究機関と連携して調査を進めている。2023年度においては調査協力団体における事情により、研究計画の一部を次年度に順延する必要性が生じたものの、全体としては大幅に支障をきたすような問題は生じていない。また、調査協力団体からは、引き続き、本研究に対する研究協力について了承を得られており、2024年度4月現在においても、特段の支障はなく、順調に研究を進めることができている。これらの状況を総合的に捉えつつ、当初の研究計画書に記載した予定ををもとに本研究課題の進捗状況について自己点検および評価を行った結果、全体的な観点からは研究計画と一致して研究を遂行できていると考えるに至った。したがって、本欄、「現在までの本研究課題の進捗状況」に関しては、「おおむね順調に進展している」という区分を選択することが適切であると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究成果から、従来の支援方法では支援提供が困難となっているケースの存在が明らかとなり、そのようなケースに対応するためには、被害者の多様性や個別性への配慮を一層強化する必要性があることや、より高度な専門性を備えた支援提供が求められていること明らかとなった。 そこで2024年度は、地域ネットワークと国際ネットワークの連携による長期的かつ多面的対応が可能な支援プラットフォームを開発し、被害者の多様性や個別性に配慮した支援提供を可能にし、従来では対応困難なケースにも専門的な支援提供が可能にするためのアプローチを検討したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
本研究課題「外国人DV被害者とその子どもへの支援における国際連携プラットフォームの構築」においては、2023年度の使用計画として、本研究の調査協力団体と連携を図り、現地に赴いて聞き取り調査研究を進めることを予定していた。しかしながら、新型コロナウィルス感染症による影響により、当初の調査計画の一部を見直すことになった。そのため、研究計画の一部について次年度へ延期する必要性が生じた。したがって、研究費の未使用額については、延期せざるをえなかった一部の調査研究の遂行および分析のための経費に充てたいと考えている。
|
Research Products
(1 results)