2023 Fiscal Year Research-status Report
The Effect of the Socio-Economic Structure on Mutual Aid of Residents.
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22K02003
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
深井 英喜 三重大学, 人文学部, 教授 (10378276)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域の就業構造 / 社会関係資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
この年度は、国勢調査のデータを使った産業別就業者数の変化から見る産業構造の変化を追う作業を、三重県内全体に拡大して検証を行なった。全体として見られる傾向は、第一に第1次産業部門従業者数の減少、第二に製造業および建設業部門の従業者数の減少傾向、第三に卸売・小売産業部門および飲食・宿泊業部門について、正規雇用から非正規雇用への従業上の地位の転換、そして第四に医療・福祉部門における主として非正規雇用形態での従業者数の増加、の4点である。全体としてこれら4つの特徴が見られたが、それぞれの特徴展の深化の具合には地域による相違が見られた。推測では、おそらく地域の経済・雇用状況の影響を受けた相違だろうと思われる。 この、地域の経済・雇用状況による影響から生じるものと思われる相違は、イギリスの地域社会経済研究などでも指摘されている。イギリスの地域研究ではさらに踏み込んで、不安定雇用が増加した地域において、住民の職業アンデンティティの形成と維持が阻害されて住民の孤立が進み、地域住民の政治的な社会的排除が進んだことが報告されていた。これらのイギリスの地域研究のなかで、住民の雇用の不安定化や非正規化が進むことによって、人々の階級的な共同体意識が弱まり、そこに緊縮的な政府による福祉政策の影響が加わることで人々の個人主義的規範が強まり、地域の社会関係資本が弱体化したことが指摘されており、この視点・分析は本研究にも取り入れたい先行研究であった。 現在、これらのデータや先行研究を用いた考察を踏まえつつ、志摩市や度会町などのこれまでに関係のある自治体においてヒアリング調査を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していたヒアリング調査の準備に手間取り、ようやく調査のための協力自治体と調査についての打ち合わせに入れた状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の上半期に可能な限りヒアリング調査を遂行していく予定である。 現時点では調査対象の市町が、これまでに関係があった県中勢南部地域の市町に限られているのが課題である。もう少し地域の多様性を確保できるように努力を試みるつもりである。
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Causes of Carryover |
2年目に予定していたヒアリング調査の実施が遅れていることが原因で、調査関連の旅費等で未使用額が生じた。 今年度の上半期にヒアリング調査のための準備と実施を進め、調査のための出張旅費を中心に使用していく予定である。
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