2023 Fiscal Year Research-status Report
日本におけるマイノリティ集団間の複合と相克に関する当事者団体からの聞き取り研究
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22K02016
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Research Institution | Tokyo Future University |
Principal Investigator |
白石 雅紀 東京未来大学, こども心理学部, 准教授 (50564184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東田 全央 淑徳大学, その他部局等, 助教 (60892528)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 複合マイノリティ / マイノリティ集団間の相克関係 / インターセクショナリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2024年度の研究実績として、①著書の一章を執筆(Makiko Kasai, Yuichi Toda, and Stephen Russell編.SOGI Minority and School Life in Asian Context: Beyound Bullying and Conflict Toward Inter-Minority Empathy. 11章執筆: 11 Inter-minority Conflict in Japanese Context.Masanori Shiraishi & Yuichi Toda.pp186-197.Routledge,2023)、②著書の改定(国際ソーシャルワーク入門改訂版.総ページ数146.東田全央著,大阪公立大学出版会,2023).③著書の一章を執筆( Koustab Majumdar et al. 編.Indigenization Discourse in Social Work: International Perspectives.9章執筆:Integrating indigenous perspectives into international social work education: A case study in Japan.Masateru Higashida、Kana Matsuo, and Josef Gohori.pp143-166,Springer,2023)④海外での口頭発表(Inter-minority Conflict in Japanese Context.4th Cultural Diversity, Migration, and Education Conference.於:ドイツ、ハレ.2023年8月22日.共同発表:戸田有一)がある。 上記以外にも、ドイツにおけるIMC(Inter-minority conflict)当事者団体(Ibn Rushd - Goethe Moschee:LGBTQ+などすべての人にオープンなモスク)や、IMCにかかわる研究を行っている研究者など、新たにIMCにかかわる関係者間のネットワークを構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費にかかわるここまでの研究成果として複数の出版物、ならびに学会発表を行っている。また、ドイツ・ハレでの学会発表を通じて、諸外国の相克の事情に加え、関係する研究者間でのブラッシュアップを行ったことに加えて、相克当事者であるドイツベルリンのイブンラッシュゲートモスクにおいて、ドイツにおける相克当事者の状況の聞き取りを行った。海外においても事象としてマイノリティ集団間の相克はあるが、その事象を表す用語が2023年度現在、見当たらないことからIMC(Inter-minority conflict)という用語を積極的に用いて、この課題に世間の着目を喚起したい。(例えば海外においてもルーマニアに暮らすロマ人とウクライナ避難民の相克などの事象が近年あるようである)。 その他にも日本在住のマイノリティ集団間の相克当事者より複数回聞き取り調査を行っている。また、関連する研究者(ムスリムLGBTQ+にかかわる研究者)や当事者とかかわりのある関係者(障害関係やLGBTQ+関係)などからも日本におけるマイノリティ集団間の状況の聞き取り調査を行っている。こうした聞き取り調査からマイノリティ集団内やマイノリティ集団間においてもジェンダー規範などが相克に影響を与えている現状が浮かび上がってきた。 文献研究においても、先行研究から、差異がありながらも、つながりを構築する試み(例えば共感、傷つき体験や不安などのマイノリティとしての共通項を軸とした試みなど)の整理を行っている。今後は代表研究者と分担研究者で情報共有を密に行いながら、現状の整理とつながりを構築するための理論的な枠組みの構築を目指していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度なので、これまで行ったマイノリティ集団間の相克(IMC)当事者への聞き取り調査を論文としてまとめる予定である。その一方で地方在住の精神障害者のIMCにかかわる現状など、過去2年間で取り組めなかったIMCにかかわる事象に取り組み、IMCをより多角的な視野で把握することを試みる予定である。 2023年度までの研究を通じて、当事者団体や関係する研究者とのコネクションを構築することができた。研究最終年度はこのネットワークをより広げることを意識し、多数の当事者や研究者を新たにネットワークに取り入れることを通じて、日本や世界におけるIMC(Inter-minority conflict)が起こりえる条件の整理、また差異を認めつつもつながりを織りなす複数の方策(共感や体験等の共通項)の理論的枠組みの構築を行いたい。 また、これまで構築した研究者、当事者とのネットワークを今後とも広げ、IMCの課題や現状の整理を踏まえつつ、次回の研究につなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度は勤務先の学内裁量研究費を得ることができたため、多くの研究費を科研費ではなく学内の研究費にて賄うことができた。科研費の繰り越し分は2024年度の出張や謝金など、研究の総まとめを行うために必要な経費にあてるよていである。
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Research Products
(4 results)