2023 Fiscal Year Research-status Report
誰ひとり取りこぼさない地域施策に向けて―地域活動支援センターの現状と可能性―
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22K02032
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
金木 ちひろ (河村ちひろ) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00290065)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 障害者総合支援法 / 地域支援事業 / 地域活動支援センター / 精神障害 / 知的障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下、総合支援法)に基づく地域支援事業のひとつである地域活動支援センター(以下、地活)の運営およびそこで行われている支援についての実状とその背景にある事業の促進要因・阻害要因を明らかにすることである。研究の特徴としては、身体・知的・精神・難病などを対象とした障害者施策の一部である「地活」を、障害に関する課題の周辺にある地域福祉課題も併せて構想していく地域福祉の拠点としてとらえようとする点にある。 これまでの調査(おもに聴き取り調査)では、利用者へのレクリエーションや交流といったプログラム提供が日常的に行われている他に、利用者以外の地域住民から地活へ寄せられる相談件数は多く、内容も多岐にわたる実態がある一方で、特に運営規模が小さい事業所での相談支援には人的ならびに経済的にも限界があることが示唆された。 地活はその歴史的背景からいって、法外施設と言われていた作業所あるいは精神障害者を対象としてきており、いわば仕組みの狭間にある課題やニーズに応じてきた経過もあり、限界はありつつも地活事業を通じて、あらたな課題に取り組んでいる例も散見される。 たとえば、就労継続支援や生活介護の事業所で日中活動の場を得ている利用者で、かつ、余暇の時間帯をすごすためには一定のサポートが必要な人々に対する夜間活動の場、特別支援学校時代に行っていた絵画や音楽などの芸術活動の場の提供などを行っている例、精神障害の分野では、自治体の事情により保健所デイケアから地活、すなわち医療から地域生活の場への転換を目指している例、など既存の体系では満たすことのできない事業を地活の枠組みで取り組もうとしている事例がある。地活事業はそれ単独の助成・補助では限界がある現状を打開するための方策の検討を深めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
業務上の都合により、当初計画で予定していた地域を広げての調査活動を進められなかった。そのため初年度に行ったプレ調査(聴き取り)を踏まえ、2年目は研究者最寄りの地域における資料による現状把握を引き続き行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間3年目は、2年目までに実施した研究者最寄りの地域における現状把握を基盤として、他県におよぶ地域を対象にして、質問紙調査による量的把握とともにインタビュー調査による質的把握を並行しながらさらなる実情把握をおこなっていく。区市町村の地域活動支援センターから無作為に抽出した事業所を対象、郵送による依頼で無記名式自記式質問紙を配布・回収する他、インターネットを活用した回収も併せて行い、回答率をあげる工夫をおこなう。質問内容は、運営法人に関する基本情報(組織、財政)、事業内容(Ⅰ~Ⅲ型の別、支援内容の詳細、併設しておこなっている事業の有無、相談支援の内容)、職員(資格、経験、研修の有無など)、支援を受けている障害者等の内訳、とする。 地活の推進に関する背景要因を探るインタビュー調査では、研究参加者を地域活動支援センター職員のうち、量的調査に参加した施設の他に、先駆的開発的事業を行っている施設、当該地域の行政や医療機関などの関係者への聞き取りも行う。訪問してインタビューを行う方法に加え、インターネットによる遠隔面接の方法も考慮する。質問内容は、地活を積極的に推進できる自治体の制度・行政や地域住民その他にかんする地域の背景(ポジティブ要因)または積極的に推進できない背景(ネガティブ要因)、障害者への直接的支援を超えて地域福祉の拠点としての事業を行っている例とその背景、等を含むこととする。 障害者総合支援法を根拠法とする地域活動支援センターは、障害者自立支援法成立以前の歴史的背景を振り返ると、法外施設と言われていた作業所あるいは精神障害者を対象とした地域生活支援センターを前身とする事業所が多かった。一方、地域生活支援事業として既存の体系では提供しにくいニーズに応える事業所も新たに生まれてきている背景についての分析によって多様な障害者の福祉ニーズおよび地域課題を明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、2023年度までに予定していた質問紙調査の実施が完了しなかったためである。 2023年度に使用を予定していた質問紙調査の実施と分析にかかる費用、すなわち消耗品費(調査票印刷にかかる費用)、人件費(データ入力のアルバイト、専門知識の提供)、その他(通信費、筆耕量)は、今後行う予定のインタビュー調査にかかる費用と併せて使用する計画である。
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