2023 Fiscal Year Research-status Report
Social policy for children to equalise opportunities: insights from the capability approach
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22K02058
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
卯月 由佳 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 総括研究官 (00718984)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 社会政策 / 教育政策 / ケイパビリティ・アプローチ / 機会の平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は第1に、子どものための社会政策が機会の平等を規範とする意義について、ケイパビリティ・アプローチを手がかりに検討することである。これにより、投資効果を根拠に社会政策の必要性を支持する場合の課題を指摘する。第2に、機会の平等概念を改めて検討して得られた知見をもとに、子どもや子どもの暮らす世帯の経済的、福祉的、教育的ニーズに対応する社会政策の必要性について、より具体的に考察することである。 2023年度は主に2つの課題に取り組んだ。一つは、子どもたちの多様な教育的ニーズに対応する多様な教育機会の構想が進む中、多様な教育機会の確保とはどのようなことであるべきか、またそれがどのようにして教育機会の平等を保障し得るか検討するため、教育機会とその平等の意味についてケイパビリティ・アプローチを手がかりに考察したことである。その結果、教育政策の目的をケイパビリティの向上と平等化と捉えれば、個人の意思を尊重する学びを追求する多様な教育機会を構想する必要があることを示した。他方で、個人の「最適」な学びを追求する多様な教育機会を推進する手段とその帰結には懸念すべき部分があり、その懸念を可視化するには、教育政策の立案や評価にケイパビリティ・アプローチを取り入れる意義があることを論じた。 もう一つは、ケイパビリティ・アプローチを手がかりに社会的投資戦略を批判的に検討し、その代案として提起されるケイパビリティの向上のための社会政策の枠組みを踏まえ、ケイパビリティの向上のための生涯学習について検討したことである。その検討を通じ、生涯学習を人的資本投資としてのみ重視する社会的投資戦略(とそれに類する政策立案)に対し、ケイパビリティの向上のための、経済的・福祉的ニーズへの対応を含む社会政策を民主的に立案・実行する社会の形成に向けて、生涯学習が独自に果たすべき役割があることを論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に今後の研究課題とした「社会的投資戦略」の批判的検討と「自己責任論」批判の相対化に着手し、学会発表を行ったほか、未公刊も含めて3本の論文を執筆できたので順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究ではここまで、社会政策を立案・評価するための枠組みとして、特に社会的投資戦略に対してケイパビリティ・アプローチを応用する意義について論じてきた。今後、研究のまとめに向けて、ケイパビリティ・アプローチを社会政策に応用する際の困難についても把握し、それを克服するための方策についても検討する。特に、子どもの意思を尊重することに関わる課題を検討する。
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Causes of Carryover |
2023年度は国際学会参加の計画を立てられなかったが、2024年度に国際学会等に参加するための旅費を残すため、支出を節約した。
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