2022 Fiscal Year Research-status Report
障害児・保護者支援に資する個別の教育支援計画を用いた「SSW活用促進モデル」構築
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22K02061
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
伊藤 絵理 (岩山絵理) 愛知教育大学, 教育学部, 助教 (70639020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 靖範 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10827918)
厨子 健一 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (40734489)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | スクールソーシャルワーカー / 特別支援教育 / 意思決定支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
特別支援学校におけるスクールソーシャルワーカー(SSW)の役割について,先刻研究よりSSW発祥の地であるアメリカでの実践では,SSWが意思決定支援のプロセスに関わること,個別の教育支援計画や移行支援計画を作成するチームの一員となり,本人の参画をサポートすることが重要とされていることが明らかになった.しかし,日本において,意思決定支援を担っているのは教員である.そこで,SSWの支援の対象として最も多かった知的障害特別支援学校高等部に着目し,教員による意思決定支援の実践・取り組みとして,どのような実践がされているのか,SSWが果たす役割があるのかを明らかにするため,国内文献のレビューを行った.研究成果は「知的障害特別支援学校高等部における教員による意思決定支援の実践・取り組み~スクールソーシャルワーカーの必要性~」として中部社会福祉学研究に発表した。 当該研究の目的は,教員による意思決定支援に関わる実践や取り組みの現状と課題を文献レビューから明らかにすることである.選定条件を満たした文献15件を分析対象とした.対象文献から,意思決定支援にかかわる記述をコードとして抽出し,カテゴリー化した.カテゴリー間の関連性については,意思決定支援ガイドラインの3つの基本原則をもとに整理した.結果,教員による意思決定支援として,自己決定の前提として【自己理解の促進】,自己決定への支援として,【意思表示のための工夫】【体験を通した選択の機会を設定】,重度の障害がある生徒に対する支援として【支援者間の情報共有】という実践や取り組みが行われていることが明らかとなった.一方で,「不合理な判断の尊重とリスク対応」については示されなかった.実践や取り組みとして示されなかった項目について,SSWが貢献できる可能性も含め,今後,現状を調査する必要があると考察した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教員とスクールソーシャルワーカーの役割期待のズレや重なりについては、インタビュー調査より明らかにする計画をしていた。インタビュー調査は特別支援学校教員9名,スクールソーシャルワーカー3名に対して実施し分析を進めている。インタビュー対象者の都合によりインタビュー実施時期が遅れてしまったため、研究成果の報告には至っていない。 学校と家庭、福祉等関係機関の連携に効果的な要素として資料分析を実施した。資料調査から効果的な要素を抽出することができた。 しかし、ケーススタディによるグットプラクティスの整理については、役割期待に関するインタビュー調査の結果を踏まえて行う計画であったため、インタビュー調査実施の遅れが影響し、完了には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
特別支援学校教員とスクールソーシャルワーカーを対象としたインタビュー調査の結果を分析し、教員とスクールソーシャルワーカーの役割期待のズレや重なりを明らかにし、研究成果として報告する予定である。また、本インタビュー調査をもとにケーススタディーの対象となる事例を選定し、研究を進めていく。 また、令和5年度計画となっていた「個別の教育支援計画」書式の作成については、令和4年度よりインタビュー調査と並行して取り組んできた。特別支援教育コーディネーター、相談事業所の相談員、障害当事者への聞き取りは完了している。これらの結果と今後分析するインタビュー調査の結果、ケーススタディーの結果を統合し、開発チームで書式の検討を行い完成を目指していく。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の実施時期の遅れが影響し、分析等のための費用を使用しなかった。また、分析まで終えることが出来なかったため学会発表も昨年度中に実施することが出来なかったため、学会参加費や交通費を使用しなかった。次年度、インタビューの文字起こしなどの謝金や分析結果を踏まえて事例検討を行うときの参加者の交通費、開発チームの検討のための費用、研究成果の発表のための学会参加費や交通費の支出を予定している。
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