2023 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者施設における当事者参画型の職員評価のあり方に関する研究
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22K02078
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 大輔 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (00647604)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 当事者参画 / 職員評価 / 精神障害者 / 精神障害者施設 / 施設利用者 / クラブハウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は3年計画を予定しており、2年目の2023年度は「展開研究」と位置づけ、精神障害者施設における当事者参画型の職員評価に関する実態把握を行うことに主眼を置いた。主に取り組んだ内容は、(1)当事者による職員評価を実施している海外のクラブハウスが使用している評価シートの収集、(2)当事者による職員評価を実施している海外のクラブハウスの視察および関係者からのヒアリング、(3)アメリカのクラブハウスを対象にした「USA クラブハウス カンファレンス」への参加を通しての情報収集、(4)当事者による職員評価を実施している国内のクラブハウス関係者へのヒアリング調査、の4つである。具体的な内容は下記の通りである。 (1)当事者による職員評価を実施している海外のクラブハウス(アメリカ10ヶ所、オーストラリア1ヶ所、韓国1ヶ所)から、評価する際に使用している評価シートや関連する資料を収集した。 (2)当事者による職員評価を実施しているアメリカのクラブハウスの実情等を把握するために、ユタ州のソルトレイクシティで活動している「Wasatch House」と「Alliance House」を視察し、施設長から職員評価に関する取り組み内容や流れ等をヒアリングした。 (3)アメリカのユタ州で、2023年10月下旬に開催された「USA クラブハウス カンファレンス」に参加し、当事者による職員評価を実施しているクラブハウスに関する情報収集や研究協力についての呼びかけを行った。 (4)国内のクラブハウスで、唯一、当事者による職員評価を実施しているクラブハウスの当事者と職員にヒアリング調査(2023年9月に当事者5名、2024年2月に職員5名)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の理由から、進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
2023年度に取り組む内容として、①海外のクラブハウが使用している評価シートの収集、②職員評価を実施している海外のクラブハウスの視察、③国内のクラブハウス関係者へのヒアリング調査、④国内の精神障害者施設における当事者による職員評価の取り組み等の実態把握、の4つを計画した。
①~③については、ある程度、計画通りに実行することができ、貴重な情報やデータを得ることができた。しかし、得られた情報の整理やデータの分析を十分に行うことができず、成果をまとめることができなかった。 ④については、実行することができなかった。そのため、クラブハウスモデル以外の精神障害者施設の実態把握、それらの施設・事業所を利用している当事者の思いや職員の認識等を明らかにすることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目の2024年度は、1年目の「基礎研究」と2年目の「展開研究」を踏まえた「統合研究」と位置付けているが、2年目の「展開研究」も意識しながら以下の3つのことを軸にして行う。
(1)2023年度に海外のクラブハウスから収集した、当事者による職員評価を実施する際に使用している評価シートの内容や項目の整理を行う。また、国内のクラブハウス関係者へのヒアリング調査から得られた質的データの分析を行う。 (2)2年間の研究活動から、当事者が職員を評価することに関しての認識や捉え方等が、アジア圏と欧米圏では異なるのではないかと考えるようになった。そこで、日本以外のアジア圏の認識や捉え方等を把握するために、韓国のソウル市で活動している「テファ ファウンテンハウス(※状況によって訪問先が変更する可能性あり)」に訪問し、当事者や職員からヒアリングを行う。 (3)クラブハウスモデル以外の精神障害者施設(地域活動支援センター、就労継続支援事業所等)における、当事者による職員評価に関する認識や捉え方等を明らかにするために、施設・事業所を利用する当事者や職員に対してヒアリング調査(もしくはアンケート調査)を行う。
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Causes of Carryover |
1年目の2022年度はCOVID-19の影響で研究活動が制限されたことで、旅費や通訳費等の支出がなかったため、その部分の研究費が2年目の2023年度に繰り越された。2023年度は繰り越した金額を踏まえて研究推進方策や計画を行い、研究活動に取り組んだ。その際、適切と思われる範囲内で経費の支出を行ったが、若干の繰り越し金が生じてしまった。 3年目の2024年度は最終年となるが、国内外のクラブハウスや精神障害者施設への訪問を行い、積極的な情報収集やヒアリングを行う予定である。そのため、繰り越した分を含めた研究費を計画的に使用することができると考えている。
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