2023 Fiscal Year Research-status Report
モデル動物を用いた食物繊維の摂取が果たす母性行動に対する役割の検討
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22K02113
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大西 竜子 琉球大学, 農学部, 准教授 (80759720)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 食物繊維 / 短鎖脂肪酸 / 母性行動 / 養育行動 / 親子関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、適切な養育行動と腸内環境(腸内発酵)の関連性を探ることを目的としている。 性成熟に達した雌性マウスに抗生物質(ネオマイシン)を飲水投与すると、盲腸内発酵により生じる短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)が顕著に減少することは確認した。母マウスの妊娠安定期(膣栓確認後9日目)から出産に至る期間、抗生物質を飲水投与し腸内細菌の活動を抑制した上で、仔に対する養育行動試験を行った。昨年度から今年度にかけて、盲腸内短鎖脂肪酸の産生が抑制されると対照群(抗生物質なし)に比べて母マウスの養育行動の基盤となる巣の形状が未熟になること、巣作り行動のモチベーションが低下すること、仔を巣に運ぶ反応が遅くなることなどの行動変容が認められること、その結果の再現性が高いことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までの結果で、妊娠期に一定の腸内環境を維持することは適切な養育行動に重要であることが示唆されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
盲腸内発酵を抑制した母マウスにおいて養育行動のモチベーションが低下する要因の一つとしてストレス感受性が上昇している可能性が考えられる。母親に拘束ストレスを与え血中コルチコステロン、ACTH濃度を指標とし、ストレス脆弱性を評価する。また、特定の短鎖脂肪酸あるいは盲腸内発酵に有効な食物繊維を与えたときの母マウスの養育行動への影響を調べるなど、養育行動と盲腸内短鎖脂肪酸との相互関係についてさらに検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
実験動物、飼育、分析などに使用する予定である。
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