2023 Fiscal Year Research-status Report
表層地盤リスク把握による地震時の墓石転倒及び木造家屋被害に基づく震度推定値の検証
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22K02117
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
宮野 道雄 大阪公立大学, 都市科学・防災研究センター, 特任教授 (00183640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 義也 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (30336523)
生田 英輔 大阪公立大学, 都市科学・防災研究センター, 教授 (50419678)
落合 努 神奈川大学, 建築学部, 助教 (70867829)
荏本 孝久 神奈川大学, 建築学部, 非常勤講師 (90112995)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 震度 / 墓石転倒 / 木造家屋被害 / 微動観測 / 表層地盤リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでわが国で一般的に行われてきた墓石転倒調査に基づく地震時の最大加速度(震度)推定の結果を木造家屋被害調査結果と結び付け、さらに地盤の微動計測による表層地盤リスク把握結果と照合することによって、実証的に「震度」の物理的意味を解釈するとともに、地震時の木造家屋被害に与える有効加速度としての強度の検証を目的としている。 すなわち、木造家屋被害と関連付けられる「震度」に地形(地盤)という定性的な要素や微動計測による表層地盤の卓越周期と増幅率を掛け合わせた物理量を加えた評価を行い、木造家屋被害想定に有効な「震度」の解釈を得ようとするものである。研究成果の特長は、伝統的に行われてきた墓石の転倒調査に基づく推定震度に簡便な手法で計測可能となった微動計測結果を対応させることによって「震度」の検証を行い、木造家屋被害想定における震度と微動計測結果の新たな視点からの利用を可能にするところにある。 研究2年目の今年度の実績としては、調査対象の1978年宮城県沖地震による仙台市北方の仙北平野における墓石転倒調査実施地点の微動計測を行い、昨年度の成果を補完する結果が得られた。成果は土木学会大会において報告の予定である。また、予備調査を行い、微動計測地点の特定を図った1975年大分県中部地震の墓石転倒調査地点については約50年の経過によって墓地の廃止などがあり、有効な地点特定に至らず、研究会での検討の結果、微動計測を断念した。 一方、2024年元日に発生した能登半島地震においては木造家屋の振動被害が多発し、計測震度との対応を検討する意義が生じたため、本研究の一環として被災地調査を実施した。 さらに、スペインでの微動計測に関わるワークショップにおいて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書においては、1年目に「過去の地震における震度推定や木造家屋被害データの整理」を行うこととし、さらに1~2年目に「選定した地点における微動計測の実施と地盤分類」を実施することとしていた。これらの計画に対して、1年目の昨年度は研究会において、過去の墓石転倒および木造家屋被害調査結果による微動計測実施地点の検討を地域の地形・地盤種別を勘案しながら行うとともに1978年宮城県沖地震による仙台市の調査地点から選定した13カ所について微動観測を行った。2年目の今年度はこの結果を補完する形で、さらに北方の仙北平野において30カ所の計測を実施した。 また、新たに発生した能登半島地震では気象庁震度階の7が適用され、震度6強および震度6弱の地域で木造家屋の振動被害が多発したこと、および広範囲で地盤の液状化が発生していることから、現地調査として木造家屋被害の発生状況と計測震度および微動計測結果との比較検討を行う意義が認められたことから現地調査を実施した。 以上により「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の最終年度にあたる2024年度には、予定している1974年伊豆半島沖地震の墓石転倒調査実施地点における微動観測を行う。さらに、新たに発生した能登半島地震被災地における木造家屋の振動被害が大きかった地域における微動観測結果と木造家屋被害との関係の検討を行う予定である。これらの方針は、年度末に行った研究会において検討の末、合意を得ている。 また、最終年度にあたり3年間の成果の集約を行う。
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Causes of Carryover |
1975年大分県中部地震被災地における微動観測調査が現地の環境変化により不可能となったため、予定していた使用額が減じた。最終年度は計画していた1974年伊豆半島沖地震被災地調査に加えて、新たに発生した能登半島地震被災地調査を実施するために残額を使用する。
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Research Products
(5 results)