2023 Fiscal Year Research-status Report
乳児におけるフラボノイドの直接的あるいは間接的な免疫調節作用
Project/Area Number |
22K02118
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
石坂 朱里 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (30724463)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | フラボノイド / ケルセチン / 乳児 / 乳汁 / 薬物代謝 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、コントロール(CTL)群とケルセチン(QUE)摂取群における、母仔マウス生体内QUEを解析するとともに生理機能性を究明した。 QUE群の母マウスには、0、0.1あるいは0.01%QUE混餌飼料を出産後7~13日目まで(7日間)自由摂取させた。昨年度と同様の手法で、母仔マウス生体試料(乳汁、血液、膀胱尿、肝臓などの臓器)をサンプリングし、QUEアグリコンおよびQUE代謝物16種をLC-QTOF-MSにて網羅的に分析した。興味深いことに、0.01%QUE群において、母マウス乳汁と仔マウス血漿からQUEおよびQUE代謝物が検出された。この結果から、日常的に摂取可能なレベルのQUEが乳汁を介して仔に移行することが明らかとなった。また、いずれのQUE群においても、乳汁・血漿・尿中にQUEおよび代謝物が検出され、その濃度はQUE摂取量依存的に上昇する傾向が認められた。さらに、QUEアグリコン濃度は乳汁で顕著に高いことが認められ、仔の胃内容物からも高濃度のQUEアグリコンが検出された。 一方、生体異物であるQUEの摂取により、乳仔の薬物代謝酵素活性が増強される可能性を想定し、仔の肝試料におけるグルクロン酸転移酵素(UGT)および硫酸転移酵素(SULT)の活性を評価した。その結果、CTL群と比較して、いずれのQUE群でも有意なUGT活性の増強が示された。SULT活性についても、統計学的有意差はみられないが増強傾向が認められた。このことは、QUEなどのフラボノイドが母乳を介して乳児の生理機能に影響を与えることを示す重要な知見と捉えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
母仔マウス生体試料中ケルセチン(QUE)の解析データをさらに蓄積できたことに加え、母マウスのQUE摂取がその乳仔マウスの生理機能に影響を与えることを示す新規知見が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
ケルセチン(QUE)摂取群の仔マウス肝試料にて薬物代謝酵素であるグルクロン酸転移酵素(UGT)の活性増強が認められたため、これについて、遺伝子・タンパク質レベルでの詳細な解析を進める。また、乳汁や乳仔生体内において、QUEアグリコン比率が高い要因を究明するため、母仔生体試料中の抱合・脱抱合活性をさらに詳細に解析する。
|
Causes of Carryover |
計上していた学会旅費が未使用となったため、次年度使用額が生じた。
|