2023 Fiscal Year Research-status Report
現代日本の若者と着物を視座とする着物文化の継承のための研究
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22K02123
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
山村 明子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 教授 (60279958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 茜 東京家政学院大学, 現代生活学部, 助教 (70369560)
青木 美保子 京都女子大学, 家政学部, 教授 (80390102)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 着物 / 振袖 / 訪問着 / 謝恩会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は現代の着物文化を若者ファッションの観点からとらえ、分析することを目的としている。2023年度には以下の方向性で研究に取り組んだ。 第一には、戦後の着物文化の変遷をたどるために雑誌『美しいキモノ』(婦人画報社)を1950年代半ばの創刊以降、2000年までの誌面を悉皆調査した。これらのなかから、20代の若い婦人を対象とした晴着(訪問着、振袖)に関する記事をピックアップした。また、20代の晴着文化の一側面を検証し、1950年代から1970年代にかけての女子学生の謝恩会の事例に着目し、その様相を新聞記事などから分析した。謝恩会による晴れ着の流行の創造に関して(一社)日本家政学会第75回大会にてポスター発表を行った。概要は以下のとおりである。謝恩会の晴着を新聞で報じたのは1956年が初出である。成人式が1960年代に入り、和装化したことと比較すると、謝恩会はそれに先んじていたことが明らかとなった。憧れの女子学生が謝恩会に着用する着物は成人式の装いを先行する形で、1.訪問着ブーム、2.中振袖ブームを生み出し、晴れ着をファッション化させたといえる。 第二に、現代着物の新しいデザインとして施行されているレース着物の検討をはじめた。関連する戦後の情報を収集し、実物資料を購入した。 第三には、現代の振袖文化の事象を検証するために自治体(北九州市、横浜市)が行う「二十歳の集い」(旧成人式)の参加者の着物姿を取材し、意識調査を行った。 第四には、晴れ着を着用した際の着心地を評価する着用実験を行った。対象は女子大学生である。評価の比較対象として着物の素材を正絹製とポリエステル製とを選択した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は当該研究課題以外に継続している課題に関しても、研究をすすめており学会誌に論文掲載をするに至った。そのため当該課題に対する研究時間が削減された。 研究分担者は当該研究課題以外の研究課題にて、新規に科研費に採択された。そのため、やはり当該課題に対する研究時間が削減された。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には以下の方向性を考えている。 若者の晴着文化の創成期として、これまでに着目した謝恩会、成人式に関する調査内容を総括して論文として公表をする。 また、現代の若者の着物にみられるレースの使用に着目し、明治、大正、昭和初期、戦後の着物におけるレースの採用について比較検討し、着物文化の創造されていく過程について分析、発表を予定している。 さらに、2023年度に行った着物の着用実験に関しては、実験結果の整理を行い、結果を公表する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度には予定していた成果発表による、投稿料等が発生しなかった。また、2024年度には海外での学会発表を予定しているため、その経費にあてたく次年度に繰り越した。
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