2023 Fiscal Year Research-status Report
焙煎エゴマ子実に含まれる機能性成分の同定および生理作用の解明
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22K02125
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Research Institution | Yamanashi Gakuin University |
Principal Investigator |
宮田 恵多 山梨学院大学, 健康栄養学部, 准教授 (90736290)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 加熱 / エゴマ / アミノカルボニル反応 / 抗酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、エゴマ子実焙煎時に生じる高機能性成分は何か、生じた成分の示す生理作用は何か、を明らかとし、最終的には、エゴマに対して加熱するという調理加工行為が新たな機能性成分を生成する行為になり得るか否かを検証する。2023年度は、非焙煎エゴマ油および焙煎エゴマ油び熱メタノール抽出物のHPLC分析を実施した。その結果、焙煎エゴマ油熱メタノール抽出画分は、非焙煎エゴマ油熱メタノール抽出画分とは異なるクロマトグラムを示した。このことから、エゴマを焙煎した際に何かしらの化合物が合成されている可能性が考えられた。さらに、モデル生物に線虫(C. elegans)を用い、焙煎エゴマ油の線虫の酸化ストレス耐性への影響を調べた。DMSOで可溶化した焙煎エゴマ油存在下で培養したC. elegansをJugloneを含む培地へ移し、生存率を算出した。対象には、油の可溶化に用いたDMSO、非焙煎エゴマ油存在下で培養したC. elegansとした。その結果、焙煎エゴマ油存在下で培養したC. elegansの酸化ストレス耐性は、DMSO存在下で培養したC. elegansよりも有意に強かった。この結果から、焙煎エゴマ油にはC. elegansの酸化ストレス耐性を向上させる成分が含まれている可能性が考えられた。これまでに、焙煎エゴマ油存在下でC. elegansを培養するとSkn-1/Nrf2転写因子のレセプターの下流に存在する抗酸化遺伝子の発現を上昇させる結果を得ている。これらことを総合的に解釈すると、焙煎エゴマ油はC. elegansの抗酸化に関わる遺伝子の発現を上昇させ、酸化ストレス耐性を向上させることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に完了することを予定していた焙煎エゴマ油のHPLC分析を実施することができたが、特異的に含まれる成分の同定にまでには至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、焙煎エゴマ油に特異的に含まれる、あるいは非焙煎エゴマ油よりも含量が増加している成分の同定を進め、その成分の生理作用の解析を進める。成分の生理作用はモデル生物に線虫(Caenorhabditis elegans)を用い、その寿命への影響に加え、酸化や熱などの種々のストレス対する影響を調べる。順調に進む場合には、Skn-1/Nrf2、Daf-16/Foxoなどの転写因子、それぞれのレセプターの下流に存在する遺伝子が欠損した変異体あるいはRNAiによるノックダウンを行った線虫を用いた逆遺伝学的な解析も実施する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、予定していたよりもHPLC分析を実施することができなかったためである。今後は、成分分析のための標準品の購入、HPLCの実施を補助する技術員の人件費、学会発表への旅費として使用したいと考えている。
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