2022 Fiscal Year Research-status Report
加齢と炎症による血管内皮細胞障害に対するポリフェノール代謝産物の作用機序の解明
Project/Area Number |
22K02139
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Research Institution | The University of Nagano |
Principal Investigator |
石井 陽子 長野県立大学, 健康発達学部, 教授 (00361949)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 血管内皮細胞 / 炎症 / ポリフェノール |
Outline of Annual Research Achievements |
血管内皮細胞は、「抗凝固・血栓溶解」と「止血・凝固」のバランスをとり生体の恒常性を維持する。加齢による血管内皮細胞機能障害ではバランスが崩れ、易血栓形成状態となり心血管疾患の発症リスクが高まる。本研究は、摂取後の吸収や代謝によって生物学的利用能(Bioavailability)の高いポリフェノールの代謝産物が血管内皮細胞機能障害を抑制することを、血管内皮細胞の炎症モデル、酸化ストレスモデル、代謝異常モデル、加齢モデルにて検証することを目的とする。血管拡張物質である一酸化窒素(NO)は血管内細胞にて産生され、血管の中膜平滑筋に作用して血管を拡張させるが、NO産生を誘導する内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の発現は加齢とともに減少する。このeNOS発現の減少は加齢性血管内皮細胞機能障害のメカニズムの1つとされる。 まずは炎症モデルにおいて、Ellagic acid(Ellagitanninの加水分解物)、Urolithin-A(Ellagitanninの腸内細菌による代謝産物)を検討した。Urolithin-Aを添加した培地あるいは非添加培地にヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を培養し、TNFαによる炎症誘導後のNO産生と内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)の発現を比較検討した。Urolithin-A投与によりeNOS発現とNO産生は有意に増加した。Ellagic acid投与によりeNOS発現とNO産生は、増加傾向は認められたものの有意差には至らなかった。Urolithin-AはeNOSの発現維持に作用する可能性が示唆されるものの、関連するシグナル解析などによる検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関において大学運営に関与する役割および地域貢献に対する役割が増加したことにより、本課題に対するエフォートを減少せざるを得ない状況であっため。
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Strategy for Future Research Activity |
Bioavailabilityの高いポリフェノール代謝産物による血管内皮細胞機能障害の抑制効果を、炎症モデルに加え、酸化ストレスモデル、代謝異常モデル、加齢モデルにて検証する。関連するシグナル解析も行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は 1,547円である。 次年度予算と合わせて使用する。
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Research Products
(3 results)