2022 Fiscal Year Research-status Report
納豆の摂食による抗う蝕効果の実証と摂食モデルの提案
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22K02143
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
成澤 直規 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (90632034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 龍朗 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60635126)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | う蝕 / 納豆 / バイオフィルム / ナットウキナーゼ / Streptococcus mutans |
Outline of Annual Research Achievements |
う蝕とは歯の硬組織が口腔内細菌に由来する有機酸により脱灰することで生じる口腔疾患である。Streptococcus mutansは酸生産性、酸耐性に優れ、歯面へのバイオフィルム形成能を有することから、主要なう蝕原因菌である。これまでに市販納豆の水溶性画分中にS. mutansのバイオフィルム形成抑制効果を見出している。納豆中の抑制因子は、納豆菌に由来するセリン型のプロテアーゼであるナットウキナーゼであることを明らかにしている。以上の結果から、納豆の継続摂食によりう蝕予防効果が期待できるものと考え、検討を行うこととした。 S. mutansは株毎にバイオフィルム形成能が異なることが報告されている。本年度は、有う蝕小児患者より取得したS. mutansの特徴、並びに納豆抽出液によるバイオフィルム形成抑制効果を調べた。その結果、遺伝学的にまたバイオフィルム形成能が大きく異なるS. mutansが取得された。納豆抽出液は、いずれのS. mutansに対しても効果的にバイオフィルム形成抑制効果が認められた。 S. mutansは複数のバクテリオシンを合成し、口腔内環境での定着性に影響する。これまでにS. mutansでは少なくとも7種のバクテリオシンの存在が報告されている。本研究で得られた臨床分離株は複数のバクテリオシン構造遺伝子が確認され、バイオアッセイにおいてもバクテリオシン活性が確認された。ナットウキナーゼの存在によりバクテリオシンの分解、および生産抑制が確認された。以上の結果から、納豆の摂食はS. mutansの特徴に関わらず、広く抑制効果が期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト臨床分離株に対する納豆のバイオフィルム形成抑制効果を明らかにすることができた。 納豆摂食によるヒト臨床評価に向けて、倫理委員会の承認を得ることができ、抗う蝕効果の評価に必要なスプリントシステムの製作に取り掛かっており、概ね研究実施の目処が付いている。次年度はスプリントシステムを装着したヒト臨床試験の実施を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は当初の計画通りに進んでおり、大幅な研究内容の変更は予定していない。 スプリントシステムを使用したヒト臨床実験により、納豆摂食によるう蝕予防効果を検証する。得られた各試料について、リアルタイムPCRによるS. mutansの定量評価を行う。
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Causes of Carryover |
研究遂行上必要不可欠なスプリントシステムの導入が予定よりも遅れた。それにより令和4年度に予定していた患者数分のデータが取れず、未使用額が生じたため、令和5年度のデータ取得分に使用する。
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Research Products
(2 results)