2023 Fiscal Year Research-status Report
触感の発現プロセスを考慮した繊維製品の触感シミュレーション
Project/Area Number |
22K02158
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
堀場 洋輔 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (00345761)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 触感 / 繊維製品 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、触感の発現プロセスの一部をシミュレーションで再現し、布に触れた際に生じる触覚受容器周辺のひずみエネルギー密度を算出し、触感の官能検査結果との対応関係を検証することで、繊維製品の触感をシミュレーションで推定可能なのかを明らかにすることを目的としている。 計画の中間年度である2023年度には、以下に示すように、主に前年度に実施した繊維製品と皮膚の接触状態を模擬したシミュレーションと同一条件で、触感に関する官能検査を実施するために、評価装置の試作と評価試料の選定を行なった。 評価装置は、触診時の指の押し付け量や擦り速度を正確に設定するために、駆動ステージを用いて試作した。一方、評価試料については、3Dプリンタによる試作も検討したが、最終的には市販のポリエステルメッシュ素材を採用した。試料の条件は、糸の直径が3種類(100、150、200μm)、糸間のピッチが4種類(200、250、300、350、400μm)を組み合わせた合計8種類である。 以上の評価装置と評価試料を用いて触感に関する官能検査を実施した結果、押し込み量 60μm 付近で粗さ感に対する感度が高くなることや、試料を構成する糸間のピッチ差が同じでもピッチが大きい試料の方が粗さの違いを感じやすいことなどが示唆された。また、試料を構成する糸の直径差が同じでも直径が小さい試料の方が粗さの違いを知覚しやすいことも確認された。これらの触感に関する官能検査の結果が、初年度に推定した触覚受容器周辺のひずみエネルギー密度とどのように関係するのか、最終年の研究で調査を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した通り、当初の計画に従い、シミュレーションと同一条件で触感に関する官能検査を実施することが出来たため、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、研究計画の変更の必要性や研究を遂行する上での大きな課題は生じていないため、引き続き研究計画に従い、研究を推進する予定である。具体的には、シミュレーション条件と同一の条件で実施した繊維製品の触感の官能検査結果と、シミュレーションで得られた触覚受容器周辺のひずみエネルギー密度の相関性を分析し、繊維製品と皮膚の接触シミュレーションにより、触感を推定することが可能なのか明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
(未使用額が発生した状況) 触感に関する官能検査について、当初の予定よりも評価者数が少なかったため、未使用額が生じた。 (次年度における未使用額の使途内容) このため、追加の官能検査を次年度に行なうこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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