2022 Fiscal Year Research-status Report
オリーブ由来ジアルデヒド物質による牡蠣タンパク質の重合化と低アレルゲン化
Project/Area Number |
22K02162
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
菰田 俊一 宮城大学, 食産業学群, 教授 (50404843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤澤 隆志 宮城大学, 食産業学群, 助教 (00882276)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / オリーブポリフェノール / 牡蠣アレルギー / 重合化 / 低アレルゲン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オリーブ由来のポリフェノール成分を使って、食品に含まれるタンパク質を化学修飾し、新たな物理的、生物的、化学的な性質をもつ成分に誘導することを目的としている。今回の取組では、牡蠣に含まれるアレルゲンタンパク質を化学修飾し、そのアレルゲン性を低減化できるか取り組みを行うこととした。 2022年度は、はじめにオリーブ葉から目的とするポリフェノール成分を抽出する方法について検討を行った。この結果、粗抽出物としてオリーブ抽出物を得ることができた。次にこのオリーブ抽出物を用いて牡蠣由来のアレルゲンタンパク質との反応性を確認した。反応は、目的のタンパク質とオリーブ抽出物を乾燥状態で加熱することによって進めた。ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)により反応時間とタンパク質の様子を確認したところ、反応前のタンパク質が反応時間と共に減少し、高分子量側に新たなバンドが出現していた。このことは、牡蠣アレルゲンタンパク質が、オリーブ由来抽出物の中に含まれる成分と結合し、新たなタンパク質が生成していることを示している。 次に、新たに生成したタンパク質のアレルゲン性を簡易的に評価する一環としてドットブロット法により、ドットの強度を評価した。この結果、牡蠣アレルゲンタンパク質がオリーブ由来成分と反応すると、抗体がこれを認識できなくなる傾向があることがわかった。また、ウェスタンブロッティングによる確認を行ったが、ドットブロット法と同様の結果となった。このことは、この反応によりアレルゲン性が低減化する可能性を示すものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当初の予定が初年度に当たる2022年度にオリーブ由来のポリフェノール成分の抽出や牡蠣由来アレルゲンタンパク質の抽出及び検出法の整備を予定してた。これらについては、予定通り進捗した。また、試験管レベルでこれらのポリフェノール類とタンパク質の反応条件の検討や、ドットブロット法、ウェスタンブロット法など、抗体を用いた検出法の検討についても予定通り進捗した。更に、予備実験としてマウスを用いた動物レベルの発症試験にも着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、動物レベルでタンパク質のアレルゲン性評価を行う。はじめに、マウスに牡蠣アレルゲンタンパク質を接種し、牡蠣アレルギーマウスを作成する。このマウスにオリーブポリフェノールで化学修飾したアレルゲンタンパク質を接種して発症の様子を把握する。この際、血中ヒスタミンを定量し、ヒスタミンレベルを比較することにより、発症の有無を判断する。一方、オリーブ抽出物中のポリフェノールについても詳細な解析を行う。2022年度はポリフェノール粗抽出物を用いて検討を行ってきたが、2023年度は詳細な解析を行い、これに含まれる成分の同定及びタンパク質との反応メカニズムについても解析作業を進める。
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Research Products
(2 results)