健康茶と解熱鎮痛薬の併用摂取による解熱鎮痛作用への影響と有害作用発現に関する研究

2023 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 22K02170
• Research Institution: Kyoto Women's University
• Principal Investigator: 川添 禎浩 京都女子大学, 家政学部, 教授 (00224783)
• Project Period (FY): 2022-04-01 – 2025-03-31
• Keywords: 健康食品 / 健康茶 / 解熱鎮痛薬 / 相互作用

Outline of Annual Research Achievements

健康食品の安全性に関して、医薬品との相互作用においては、健康食品が医療用医薬品の効果におよぼす影響が注目されるが、ドラッグストアで購入できる市販薬の効果におよぼす影響にも注視する必要がある。そこで、本研究では実験動物マウスに健康茶の杜仲茶と薬用量の解熱鎮痛薬アセトアミノフェン（APAP）を併用摂取させた際の相互作用（解熱鎮痛作用への影響として、体温低下作用と鎮痛作用への影響を見る）を検討することとした。
マウスに杜仲茶を3日間摂取させ、その後APAPを腹腔内投与すると、APAPによって低下した直腸温（体温低下作用）および減少したライジング回数（鎮痛作用）ともに回復がみられた。杜仲茶の摂取は、APAPの体温低下作用と鎮痛作用を減弱する傾向があると考えられる。
マウスに杜仲茶を3日間摂取させ、その後APAPを経口投与すると、APAPによる体温低下作用および鎮痛作用は減弱したが、明確な傾向は見られなかった。経口摂取ではAPAPの作用が弱くなり、またバラツキもあると考えられる。
杜仲茶の成分としてゲニポシド酸が知られていることから、杜仲茶に含まれているゲニポシド酸に近い量をマウスに摂取させ、その後APAPを腹腔内投与した。結果は、APAPによる体温低下作用および鎮痛作用はゲニポシド酸の摂取によって減弱したが、明確な傾向は見られなかった。ゲニポシド酸以外の成分がAPAPの作用の減弱に関与しているのではないかと考えられる。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2023年度は、マウスに杜仲茶を3日間摂取させ、その後APAPを腹腔内投与すると、APAPの薬理作用を減弱させるかどうか、2022年度の再現性を確認する必要があった。また、APAPを経口投与した場合、腹腔内投与の結果と一致するかどうか、確認する必要があった。結果として、杜仲茶の摂取は、APAPによる腹腔内投与の体温低下作用および鎮痛作用を減弱する傾向が見出され、APAPの経口投与の場合も体温低下作用および鎮痛作用は減弱したが、明確な傾向は見られなかった。
また、2023年度は、杜仲茶に含まれる特定の成分をマウスに摂取させ、同様の影響を再現できるのかを調べ、その成分が関与しているのかを調べることにしていた。そこで、杜仲茶の成分としてゲニポシド酸があり、ゲニポシド酸をマウスに摂取させ、その後APAPを腹腔内投与したところ、APAPによる体温低下作用および鎮痛作用はゲニポシド酸の摂取によって減弱したが、明確な傾向は見られなかった。
さらに、上記の実験に関連して、杜仲茶とAPAPを併用摂取させた際のAPAPの血中濃度を調べるために、APAPの血中濃度をHPLCで分析する方法を確立することにしていた。しかし、上記の実験の再現性にかなりの時間を費やしたことから、2024年度にAPAPの血中濃度をHPLCで分析する方法を確立することにした。

Strategy for Future Research Activity

2023年度は、マウスに杜仲茶を3日間摂取させ、その後APAPを腹腔内投与すると、APAPの体温低下作用および鎮痛作用を減弱させる傾向がが見出され、APAPの経口投与の場合も体温低下作用および鎮痛作用は減弱したが、明確な傾向は見られなかった。そこで、2024年度は、APAPを腹腔内投与した場合に焦点を当てて、杜仲茶の摂取期間の延長や濃度の増加を行うことで、APAPの薬理作用への影響が増大するのかを検討する。
また、2023年度に実施できなかった、杜仲茶とAPAPを併用摂取させた際のAPAPの血中濃度を調べるためのHPLC分析方法の確立を行う。次に、マウスに杜仲茶を摂取させ、その後APAPを投与し、APAPの血中濃度を経時的変化を調べることで、APAPの血中濃度が体温低下作用および鎮痛作用を減弱と連動しているのかを考察する。
これまでの結果を総合して、杜仲茶とAPAPを併用摂取させた際の相互作用をまとめる。

Causes of Carryover

（次年度使用額が生じた理由）2023年度は、マウスに杜仲茶を3日間摂取させ、その後APAPを腹腔内投与すると、APAPの体温低下作用と鎮痛作用を減弱させるかどうか、2022年度の再現性を確認する必要があった。また、APAPを経口投与した場合、腹腔内投与の結果と一致するかどうか、確認する必要があった。また、2023年度は、杜仲茶に含まれる特定の成分をマウスに摂取させ、同様の影響を再現できるのかを調べ、その成分が関与しているのかを調べることにしていた。これらの実験にかなりの時間を費やしたことから、2023年度の予定していた杜仲茶とAPAPを併用摂取させた際のAPAPの血中濃度を調べるためのAPAPの血中濃度をHPLCで分析する方法を確立する実験が実施できなかった。
（使用計画）2024年度は、APAPを腹腔内投与した場合に焦点を当てて、杜仲茶の摂取期間の延長や濃度の増加を行うことで、APAPの体温低下作用と鎮痛作用への影響が増大するのかを検討する実験を行う。また、2023年度に実施できなかったAPAPの血中濃度を調べるためのHPLC分析方法の確立する実験を行い、次に、マウスに杜仲茶を摂取させ、その後APAPを投与し、APAPの血中濃度を経時的変化を調べることで、APAPの血中濃度が体温低下作用と鎮痛作用の減弱と連動しているのかを調べる実験を行う。