2024 Fiscal Year Research-status Report
歴史的町並み・集落にみる「減災の知恵」を活かした持続可能なまちづくりに関する研究
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22K02178
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| Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
田中 勝 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70202174)
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| Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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| Keywords | 歴史的町並み・集落 / 防災 / 減災の知恵 / 持続可能なまちづくり / 伝建地区 |
| Outline of Annual Research Achievements |
令和6年度は研究期間の3年目として、重要伝統的建造物群保存地区(以下、伝建地区)や歴史的町並み・集落の減災・防災に係る文献資料や基本データの収集を続けた。また、全国の伝建地区の中から大分県杵築市を対象に、現地での情報収集調査を行った。今年度の研究成果は次のようである。 前年度と同様にインターネット情報を広く検索すると共に、令和6年度1年間の全国紙及び地方紙を対象に近年の大規模地震等による災害とまちづくりに関する記事のスクラップを行い、減災・防災に対する施策・事業の全国的動向や各地の取組を把握した。 大分県杵築市で開催された全国伝統的建造物群保存地区協議会令和6年度九州地区ブロックまちなみ保存講演会in杵築に参加し、情報収集を行った。基調講演の内容から、伝建地区の防災の必要性とポイント、今後想定される地震、能登半島地震等の経験にもとづく大規模災害に備えた目標設定、防災・減災対策のサイクル、防災計画・保存活用計画の内容、自治体による普及啓発資料等に関する情報が得られた。また、伝建地区の減災・防災に関する具体的な取組として宮崎県日南市と長崎県長崎市の事例を収集した。日南市飫肥地区では日向灘地震や集中豪雨による伝建地区の被災状況と復旧に向けた体制づくりについて情報を得ると共に、被災した自治体の経験を共有する機会の拡大や大規模災害を想定した予防的な取組の必要性を確認することができた。その後の飫肥地区での現地調査では被災・復興状況を確認し、伝建地区の保存・活用に対する住民の意向を聴くことができた。大分県杵築市北台南台伝建地区については現地見学により保存地区の概要と修理・修景の実際にかかる情報を得た。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
並行して実施していた科研費研究「伝建地区の生活文化継承を支えるコミュニティの創成と居住システムの構築に関する研究」(令和6年度が最終年度)を先行させながら、相互調整や住み分けを行う必要があったことから、減災・防災の観点から研究モデル地区の現地調査を設定することができなかったことが遅延の主な理由である。この結果、インターネット・文献・新聞記事等にもとづく基礎検討に依る部分が多くなった。伝建地区を有する全国の自治体や町並み保存団体等を対象とした防災・減災に関するアンケート調査についても能登半島地震の復興状況を考慮し、調査実施時期の変更が必要と判断した。以上の理由から、当初の計画どおりには研究を進めることができなかったため、進捗状況を「遅れている」と評価した。
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| Strategy for Future Research Activity |
近年の各地での大規模災害(地震、豪雨、土砂崩れ等)の発生や過去の災害からの復旧プロセス、各伝建地区の立地特性や被災経験の有無、災害タイプ等を総合的に判断しながら現地調査地区の数を増やし、不足している減災の知恵の事例収集・分析を深めていきたい。自治体及び町並み保存団体等を対象としたアンケート調査を実施し、伝建地区の減災・防災の課題と地域性を生かした取組を全国規模の調査から明らかにすると共に、そこにモデル地区の事例分析を位置づけていく予定である。特に伝統的建造物にみる減災の知恵については新規調査による資料の発掘だけでなく、先行研究で報告されている事例を検証し、減災・防災効果を可視化することで研究の進展を図りたい。
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| Causes of Carryover |
現地調査を実施できた地区数が当初計画よりも大幅に減ったことにより資料収集や現地調査のための旅費支出が少なくなったことが大きい。また、全国規模のアンケート調査の実施時期を変更したため封筒印刷費、通信費、データ整理アルバイター謝金等を執行する必要がなくなり、次年度使用額が生じた。現地調査旅費、アンケート調査の実施及び分析に係る謝金等は本研究課題の実施に欠かすことができないため、次年度使用額については、現地調査の対象地区には遠隔地が多いことや郵便料金の値上がり等を踏まえ、国内旅費、物品費、その他(アンケート郵送料等)、謝金等として適切に、かつ効果的に使用する。
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