2023 Fiscal Year Research-status Report
和食パターンと主要な疾病の死亡・発症・有病率―30年間の国際比較研究ー
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22K02194
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Research Institution | Tsu City College |
Principal Investigator |
阿部 稚里 三重短期大学, その他部局等, 教授 (10351214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 具子 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (00393166)
下方 浩史 名古屋学芸大学, 大学院栄養科学研究科, 教授 (10226269)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 和食スコア / 国際栄養 / FAOSTAT / 生態学研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界で健康に良いとされる食事の中に、日本の伝統的な食文化である和食がある。和食はユネスコの無形文化遺産にも登録され、日本が世界トップクラスの平均寿命であることもあり、健康的な食事であるとの認識が世界中に広がっている。本研究の目的は、100 か国を超える世界規模において、和食パターンが健康長寿に関連する各疾病の死亡・発症・有病率の低下と関連するのか、国際データを用いて縦断的に明らかにすることである。我々は、和食パターンを表す指標として、スコアが高いほど伝統的な和食パターンであることを示す和食 スコアを用いて、上記の研究課題について取り組んできた。 2023年度は、2022年度に行った和食スコアと低骨密度率および60歳以上の骨密度との関連についてさらに解析を進めて、和食スコアを構成する各食品群と低骨密度率および60歳以上の骨密度との関連について、国際データを用いた10年間の縦断解析によって明らかにしようとした。その結果、伝統的な和食パターンを構成する食品群の中でも、米、魚介類および大豆の食品供給量の増加と、小麦、牛乳・乳製品および赤身肉の食品供給量の減少がその後10年間の世界規模での低骨密度率の上昇と60歳以上の骨密度の低下と関連していることが示唆された。和食パターンは健康寿命の延伸や非感染症疾患死亡率に良い影響を与えるため、世界のさまざまな食文化において、和食パターンの食事に骨の健康に良いとされる食品を取り入れていくことで、低骨密度率および60歳以上の骨密度の低下を改善させる可能性が期待できることを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究計画については概ね計画通りに進んだ。2023年度に報告した和食スコアを構成する食品群と低骨密度率および60歳以上の骨密度との関連以外についても解析を行い、論文を投稿している。また、新しく更新された食品供給量の世界各国のデータについても取得してデータクリーニングを行い、今後の解析に使用できるようにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も引き続き和食スコアと健康長寿に関連する各疾病の死亡・発症・有病率の関連について、国際データを用いて縦断的に解析を進めていく。具体的には、和食スコアと高血圧や認知症について検討する。得られた結果について、順次学会発表を行うとともに、まとまった結果については論文を完成させて投稿する。また、新しく更新された世界各国のデータについては順次取得してデータクリーニングを行い、今後の解析に使用できるようにする。
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Causes of Carryover |
(理由)2023年度も引き続きコロナ禍の影響があり、対面での研究打ち合わせに行うことができず、未使用の旅費が発生した。論文を投稿中であり、研究成果発表費用を今年度の予算で執行することができなかった。 (使用計画)データ管理に関わる消耗品費の購入、英文校正代、学会誌投稿料などの研究成果発表に関わる費用として使用する予定である。
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