2022 Fiscal Year Research-status Report
京城時代の安倍能成─京城帝国大学史研究の領域横断的新展開─
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22K02232
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
六反田 あゆみ (通堂あゆみ) 九州大学, 韓国研究センター, 学術共同研究員 (70826370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永島 広紀 九州大学, 韓国研究センター, 教授 (50315181)
許 智香 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 助教 (60876100)
新里 瑠璃子 九州大学, 韓国研究センター, 学術協力研究員 (30942429)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 京城帝国大学 / 在朝日本人 / 帝国大学 / 旧制高校 / 安倍能成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はオンラインでの研究会を10回、対面での研究会を1回開催して、安倍能成が京城帝国大学に着任した1926年から最初の卒業生を輩出した1929年までの日記の翻刻作業を終えることができた。これまで京城帝国大学研究で利用されてきた京城帝国大学学報など大学当局刊行資料や京城日報をはじめとする新聞資料類との比較照合作業も進めることで開学当初の学内行政の諸相や当時の京城でのくらしぶり、盛んな執筆活動が明らかとなった。とくに安倍が担当した哲学関係の講義については、その準備に用いたテキスト類や法文学部教員有志による勉強会の実態など、公刊された安倍のエッセイ(『青丘雑記』『静夜集』など)や関係者の回顧録類で伝えられていたエピソードの具体的な裏付けを得ることができた。また、朝鮮総督府関係者を中心とする愛媛県出身者や第一高等学校・東京帝国大学関係者との積極的な交流からは「外地」に広がる同郷・同窓・同門ネットワークを確認できた。 研究成果として永島広紀は「京城帝国大学法文学部の史学系講座とその歴史学研究―台北帝大、満洲・建国大学との比較的視点を踏まえた考察」(小澤実/佐藤雄基編『史学科の比較史―歴史学の制度化と近代日本』勉誠出版、2022年)を発表し、通堂あゆみは国際日本文化研究センター共同研究「植民地帝国日本とグローバルな知の連環」(代表:松田利彦)研究会(2022年9月3日)において「京城帝国大学法文学部の再々検討―安倍日記を手がかりに」、許智香は韓国日本思想史学会(2023年3月4日)において「京城帝大と戦後日本―読解中の資料からいくつかの発見」と題する報告を行った。 翻刻・注釈作業をすすめるために研究代表者・分担者各自が国立国会図書館を中心に関係資料の収集につとめたほか、永島は韓国・済州島にて旧京城帝国大学関係建築の現地調査を、許智香は金沢大学にて旧制高等学校関係史料の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安倍能成の京城帝国大学在籍期間は1926年から1940年であり(1940年9月に第一高等学校に校長として着任)、一部脱漏はあるものの、ほぼこの間の日記が残されている。2022年度は1929年末までの3年分の日記を翻刻することができた。 すでに撮影済みのデータのうち不明瞭な箇所の再撮影および未撮影の資料についての調査を進める計画であったが、新型コロナウィルス感染症流行状況を考慮して来年度以降に延期することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き安倍能成日記の翻刻作業を進める。安倍の筆記の特徴をつかめてきたこともあり、今後は翻刻作業にかかる時間がさらに短縮できるものと期待される。日記の翻刻作業と同時に、安倍が発表したエッセイの初出情報リストの作成も進める。単行本に収録されたエッセイは現在でも比較的容易に読むことができるが、必ずしも初出情報が明らかではない場合があるため、新聞・雑誌類の目録および日記の記述を利用しながら情報の充実に努めることで安倍の執筆活動実態に迫りたい。 また、安倍能成日記に登場する人物に関する情報や旧制高等学校・帝国大学ネットワークの解明のために、関係機関における史料調査も積極的に行う予定である。
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Causes of Carryover |
すでに撮影済みの安倍能成日記のうち不明瞭な箇所の再撮影および未撮影の資料についての調査を進める計画であったが、新型コロナウィルス感染症流行状況を考慮して実施を延期したため、撮影機材・データ整理関係機材(一眼レフカメラ、HDDなど)費用および旅費として計上していた使用額を次年度に繰り越すこととなった。2023年度は愛媛人物博物館(愛媛県生涯学習センター)での資料調査・撮影を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Book] 史学科の比較史2022
Author(s)
小澤 実/佐藤雄基[編]
Total Pages
608
Publisher
勉誠出版
ISBN
978-4-585-32017-3