2022 Fiscal Year Research-status Report
GIGA School Practice Theory Based on Scientific Evidence
Project/Area Number |
22K02239
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
山本 宏樹 大東文化大学, 文学部, 准教授 (20632491)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | GIGAスクール / 人工知能 / 教育改革 / 教育倫理 / エビデンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「デジタル教育効果検証調査(ICTを利用した教育の効果に関する実証的知見の総括)」および「GIGAスクール実態調査(国内の教員・児童生徒への聴き取り調査)」の二つの調査結果を統合し、「GIGAスクールの成功条件」を探究するものである。具体的には、デジタル教科書、電子ノート、オンライン授業、ICT機器の教育利用・校務利用等に関し、日本固有の教育の実情に沿った形で有効な実践の在り方を提起することを目指している。 初年度となる2022年度の本科研関連業績は、雑誌論文7点(共著1点、刊行予定を含む)、学会報告等8回(講演5、司会1を含む)、テレビ報道1回(NHK教育「不登校が過去最多 なぜ?対策は? デジタル活用で学びを届ける」)、計16点である。 公刊した雑誌論文のタイトルは「データ駆動型教育の動向と論点」「2030年代、変貌する学校教育:『教育DX』はどこへ向かうのか」「子ども・保護者と歩む教育『DX』」「どうなる?日本の英語公教育:SNSと機械翻訳で広がる日本の外国語教育格差」「2040年、教育の旅」「2040年の日本社会と公教育」「対話型AIが教育にもたらすメリットとリスク」、学会報告・講演のタイトルは「どうなる?どうする!GIGAスクール」「GIGAスクールの光と影」「2040年の公教育の課題」「2040年の日本社会と公教育」「子どもと歩むGIGAスクール実践」「教育のデジタル化と学校の未来」「どうなる?学校の未来:デジタル教育改革の10大リスク」等である。 2022年度は、ICTの教育への利活用やデジタル技術の革新に対する社会的関心が高まる中で、GIGAスクールの現状や未来についての考察を行い、さらに2030年、2040年という未来を見据えた教育DXのトレンド分析や課題に関する知見を提供する機会に恵まれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ICTの教育効果とGIGAスクールの実態を探究し、未来の「GIGAスクール」及び「教育DX」の成功条件を解明することを目指すものである。 2022年度は、上記の通り、ICTの教育への利活用やデジタル技術の革新に対する社会的関心が高まる中で、GIGAスクールの現状や未来についての考察を行い、さらに2030年、2040年という未来を見据えた教育DXのトレンド分析や課題に関する知見を提供する機会に恵まれた。その結果、2022年度の業績は予定を上回る良好な進展を見せている。 2022年末からはChatGPTを始めとする生成型AIの技術革新が広く認識され、人工知能の教育的利活用に関する社会的関心が増大している。この状況を受け、月刊誌に連載する形で本研究で得られた知見を発信することができた。今夏には人工知能の教育利用に関する学会報告を行う予定である。 調査については、2022年度を通じて、ICT活用を推進する教育委員会や学校、教職員組合、生活困窮層の子どもや障害を持つ子どもを支援する教員や非営利団体等から調査協力を得ることができた。デジタル教育をめぐる状況が急速に変化していることや、2022年度から所属機関が変わったことで調査計画に一部修正を要したが、研究の推進には影響を及ぼしていない。以上のことから、「当初の計画以上に進展している」という自己評価を行うことが適切と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗に則して、研究をより積極的に推進するために、交付申請書に記載した計画の内容を以下のとおり変更したい。 ①デジタル教育効果検証調査(2022年度、2023年度)について「国内外の実証研究に関する展望論文を執筆し、学会誌等に投稿する」としたが、これを「国内外の実証研究に関する展望論文を執筆して学会誌等に投稿するとともに、学会・インターネットフォーラム、教育関係専門誌等においても随時情報発信を行う」とする。 ②GIGAスクール実態調査(2023年度、2024年度)について「所属する民間教育研究団体のコネクションを活用し、全国で先進的なデジタル教育実践を行っている教育関係者に対して継続的な聴き取り調査・実践見学を実施する。」としたが、この調査の期間を「2023年度、2024年度」から「2022年度、2023年度、2024年度」に拡大する。 ③科学的根拠に基づくGIGAスクール実践論(2024年度)について「上記2調査の結果を踏まえ、本研究課題である「GIGAスクールの成功条件は何か」を各テーマごとに明らかにしたうえで学術媒体に論文投稿を行う。また、本科研の研究結果はインターネットメディア「SYNODOS」「HUFFPOST」「現代ビジネス」、月刊誌『教育』WEBなど、申請者と交流のあるインターネットメディア上で随時発信していく予定である。」としたが、期間を「2022年度、2023年度、2024年度」に拡大し、内容に追記する形で「人工知能をはじめとする今後の技術革新に基づく公教育の形態変化に関する展望についても諸媒体において随時発信していく」とする。 なお、前述のとおり調査計画に変更が生じているが、引き続き個人情報保護法の精神及び「日本教育社会学会研究倫理宣言」「日本社会学会倫理綱領にもとづく研究指針」の理念に基づき適切に調査を計画実施していきたい。
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Causes of Carryover |
本件については、2022年8月に100万円の科研費の前倒し支払いを申請した経緯がある。この申請は、申請当時において研究に計画以上の進捗が予見されたこと、ならびに所属機関の変更に伴い研究環境を再構築する必要があったこと等から生じた。 前倒し支払い申請時には、「今回100万円を請求するが、本科研費の基金としての性質を活用し、今年度に全額を必ず使い切る形ではなく、コロナ禍の影響を含む研究進捗上の変動に対応しながら、適宜次年度以降に残額の繰り越しをしていきたい」と明記し、その上で認可を受けた。 結果として、約45万円が2023年度に繰り越されることとなったが、この金額は、2023年度以降の研究活動に対する予算として当該年度の予算と合算する形で、計画に則り、調査費や文献購入、学会参加等のために使用される予定である。
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