2022 Fiscal Year Research-status Report
戦後東北における民間教育研究運動の史的展開に関する調査研究―東北民教研を中心に―
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22K02251
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
土屋 直人 岩手大学, 教育学部, 教授 (10318751)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 東北民教研 / 民間教育研究運動 / 教育実践史 / 北方性教育 / 生活綴方 / 生活指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本調査研究は、戦後東北の教師たちがその「民間」教育実践・研究運動のなかで、昭和戦前期以来の「北方性教育」運動の精神をどのように継承してきたのか、その実際的な展開や実像への問題意識から、1952年以来今日まで「北方性教育の遺産の継承・発展」を標榜してきた「東北民教研」(東北地区民間教育研究団体合同研究集会)における教育実践研究の展開に着目し、各時代の第一次資料等の探索発掘・収集分析、及び各時代の担い手・当事者への聴き取りなどをもとに、実証的に検討することを通して、戦後東北における民間教育研究運動の史的展開の実像とその特質、その教育実践史的意義を解明しようとするものである。 本調査研究の初年度にあたる本年度(2023年度)は、まず本研究主題に関連する先行諸研究(「東北民教研」記念誌等の基礎文献や、東北6県の教育実践に関連する教育雑誌記事等)の収集・検討とあわせ、戦前・戦後の北方教師たちの実践、東北民教研の足跡についての著作・諸資料を収集・講読し、基礎的事実を整理することに努めた。そして、「東北民教研」の関連資料の収集作業については、宮城、山形における調査、資料収集を実施した。 また、とりわけ初年度の本年度は、戦前岩手で活躍した石橋勝治の大船渡時代の教育実践の一部や、岩手において戦前から戦後にかけて生活綴方教育実践を重ね、当初から東北民教研(第1回教科研東北大会)に参加し、また岩手民教研の生みの親の一人でもある、永井庄蔵の教育実践に焦点を当て、その教育実践記録や、学級文集実践に関する先行研究の渉猟と基礎資料の収集・検討を行った。その調査・検討の結果としての研究成果の一部は、学内紀要論考の原稿にて報告を行った。 加えて、山形県で夏に開催された2023年度「東北民教研」天童集会に参加し、今日における東北民教研の教育課題認識や見解などについて情報収集を行うことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本文献による基礎研究、関連文献・資料の収集作業については、一定の進展を期することが出来、また足下の岩手県の民間教育運動研究のこれまでの成果をもとに、東北民教研、岩手民教研に関わる戦後教育実践に関する資料収集と検討を、一定程度進めることが出来た。 ただし一方、コロナ感染対応等の関係から、当初予定をしていた、「東北民教研」を組織的に担い、参加してきた実践者に対する聴き取り調査作業や、東北六県各地に赴いての、「東北民教研」の集会記録等の関連資料、実践者らの教育実践・討議記録等の収集作業については、実質的に数回実施するのみであり(宮城、山形における調査、資料収集)、限定的な調査活動に止まった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年度目になる、2023年度は、特に、コロナ感染拡大状況を見つつ、東北六県各地での調査、具体的には、「東北民教研」を組織的に担い、参加してきた実践者に対する聴き取り調査作業や、「東北民教研」の集会記録等の関連資料、実践者らの教育実践・討議記録等の収集・分析検討作業を、できる限り進めたい。東北各地の民間教育研究団体の研究所・事務所等に赴き、過去の教育関係雑誌・地域誌等に所収の教育実践記録等を閲覧収集し、その講読と分析検討を継続的に行い、また、東北6県各地域における実地調査から、第一次史資料(各年度の集会記録集や実践報告記録等の第一次資料等)の発掘収集を行い、東北民教研集会各回の実践報告や討論の動向等の分析検討を実証的に行いたい。 また、実地に「東北民教研」集会に参加し、古くから大会に参加する関係者から情報を得ながら、資料の所在の確認や保管者の探索、新たな聴き取り相手の探索を試みたい。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大等の影響を理由とする次年度への調査研究実施の延長のため。
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