2022 Fiscal Year Research-status Report
数学科授業に関する教授言語にみる社会文化的要素の構造:日独両国の比較を手がかりに
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22K02255
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
舟橋 友香 奈良教育大学, 数学教育講座, 准教授 (30707469)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 数学授業 / 授業レキシコン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,数学科授業における教授言語及び数学科授業についての記述で用いられる教授言語にみる社会文化的要素が,教師の中でいかに構造化されているのかについて,日独両国の比較を手がかりにして,日本の特質を明らかにすることを目的とする. 令和4年度は,研究課題1と2に関わって,3つの事柄に取り組んだ.第一に,算数・数学授業にみる営みを文化的・社会的に解釈する観点と心理的に解釈する観点の両者には,相互に反射的な関係がある(reflexively related)と指摘するCobb & Yackel (1996)の研究に注目し,中学校第2学年の数学授業の分析から事例的にその内実を検討した. 第二に,国際レキシコンプロジェクト(Mesiti et al., 2021)で特定された10カ国の授業レキシコンのうち,日本,韓国,ドイツ,アメリカ,オーストラリアの5カ国を対象に,授業レキシコンについての計量テキスト分析を実施し,各国が数学の授業に関わるどのような営みに固有の名称を与え,識別して語ることを可能にしているのかについての全体像を探った.その結果,「problem」を中心とした数学授業の構成や授業展開の仕方について横断的特徴が見られた一方で,共起関係にある語や授業レキシコンに着目すると,各国で異なる様相が浮かび上がった. 第三に,数学に関わる教授・学習行為のいかなる側面について語りうる語彙を日本では共有しているのかについて,8カ国の授業レキシコンの分類の比較を通して明らかにすることを試みた.その結果,日本の授業レキシコンには,時間の経過と紐づけた整理が可能な語彙群が存在することと,数学の価値が内包された語彙群が豊富に存在することが明らかになった.一方で,評価に関わる語彙群や,大局的な視点から人間の育ちを捉える語彙群が少ないことも顕在化した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題1(社会文化的な存在としての教師と、行為主体としての教師という二つの面を構造化するための理論的検討)と研究課題2(日独両国における数学科授業について語る語彙の属性と数学教育史との関連を明らかにする)に関する研究を推進できた.
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Strategy for Future Research Activity |
社会文化的な側面と行為主体としての教師という二つの面を捉えるための理論的枠組みについて,さらに精緻化していく必要がある.また,令和4年度は日本とドイツを含めた8カ国を対象に授業レキシコンの分析を展開して大局的な視点から各国の特徴を捉えたが,令和5年度は日独により焦点化して具体的な授業事象に関わる類似点や相違点を顕在化していく必要がある.
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Causes of Carryover |
5,120円の繰越金が生じたが,次年度に研究資料の購入に充てる予定である.
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Research Products
(4 results)