2022 Fiscal Year Research-status Report
コンピテンシーに基づく学習評価の導入に伴うドイツ教育評価制度の機能変容
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22K02262
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
卜部 匡司 広島市立大学, 国際学部, 教授 (30452600)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 学習評価 / ドイツ / コンピテンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コンピテンシーに基づく学習評価の導入に伴うドイツ教育評価制度の機能的変容を解明することである。ドイツでは基礎学校を中心にコンピテンシーに基づく学習評価が導入されようとしている。具体的には、従来の「評点型の通信簿」や「所見記述型の通信簿」に代わり、学校で育成すべき各コンピテンシーのリストに基づいて学習評価を行う「評価シート型の通信簿」が導入されつつある。本研究では、ドイツの基礎学校における「評価シート型の通信簿」を考察することで、ドイツの教育評価制度の機能的変容について明らかにする。 本研究では、令和4年度から5年間にわたり、①ドイツの基礎学校における「評価シート型の通信簿」の導入状況を明らかにし、②基礎学校でのコンピテンシーに基づく学習評価の実践方法について解明するとともに、③ドイツの教育評価に関する理論モデルや能力理解の変化について整理し、④ドイツの教育評価制度の機能的変容を理論的に分析する。これら4つの目標を達成するため、①「評価シート型の通信簿」の導入について各州の進捗状況を整理し、導入をめぐる経緯および政策意図について明らかにしたうえで、②「評価シート型の通信簿」の記載内容ならびに従来の通信簿との違い、また判定の根拠となるテスト等の評価プロセスを解明する。さらに、③評価理論や能力観について、それぞれの特色と盲点を理論的に整理し、「評価シート型の通信簿」の導入を可能にした能力理解の変化について考察する。最後に、④ドイツの基礎学校における教育評価の機能変容について分析する。 初年度である令和4年度は、文献資料による基礎調査を中心とした研究を実施した。とりわけバイエルン州の事例から調査を始め、ドイツ全体の大まかな現状の把握に努めた。それをもとに、ドイツ各州の基礎学校低学年の学期末の成績評価について概観し、成果としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度に該当する令和4年度は、新型コロナウィルス感染症の影響により、現地調査を行うことができなかったものの、先行研究についての代表的な文献を集めることができ、またオンラインによる研究討議も実施することができた。以上の理由から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、コンピテンシーに基づく学習評価の導入について、関連の文献、政策文書、報告書などを収集する。そしてバイエルン州だけでなくハンブルク州ならびにラインラント・プファルツ州の事例についても調査に着手する。可能な限り現地調査に出かけ、教育政策担当者、研究者、学校長・教職員などへのインタビュー調査や大学の研究者との研究討議の機会を設ける。
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Causes of Carryover |
当該年度において当初の予算通りの執行ができなかった主な理由は、文献資料を収集する過程で、その購入費用をかなり抑制できたためである。その抑制できた費用は、これから発刊される最新の文献や資料の購入費用に充てていく予定である。
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