2022 Fiscal Year Research-status Report
"Reasonable Accommodations" for Food Minorities: From the Perspectives on Food Allergies and Religious Considerations
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22K02269
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山ノ内 裕子 関西大学, 文学部, 教授 (00388414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四方 利明 立命館大学, 経済学部, 教授 (90340489)
日下部 達哉 広島大学, IDEC国際連携機構:CICE, 准教授 (70534072)
浅田 憲彦 甲南女子大学, 医療栄養学部, 教授 (90331628)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 食マイノリティ / 食物アレルギー / 宗教的マイノリティ / 学校給食 / 合理的配慮 / ムスリム / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、特定の食品にアレルギー症状を示すことから食に制限がある食物アレルギー患者と、イスラム教やヒンドゥー教など宗教上の理由によって食に制限がある人々を「食マイノリティ」と包括的に定義し、学校教育における「食」の領域(主に学校給食)に焦点を当てることによって、食マイノリティの子どもたちが学校において直面するさまざまな社会的障壁とそれらを乗り越えるための合理的配慮の方策を明らかにするものである。「食マイノリティ」という視点から、学校給食をはじめとする食への合理的配慮の方法を提示することを通して、インクルーシブな学校のあり方を考えるとともに、マイノリティが排除されることなく共生を可能にする条件を提示する。 2022年度は、食マイノリティとの共生を阻む社会的障壁を解明するため、各メンバーが分担または共同してフィールド調査を行った。訪問先は、西条給食センター(広島県東広島市)、つくばほがらか給食センター谷田部(茨城県つくば市)の計二箇所の給食センターと、箕面市国際交流協会(大阪府箕面市)でのフィールド調査、そして愛知県名古屋市、大阪府吹田市での当事者団体である。また、年2回のオンライン研究会に加え、3年ぶりに対面にて研究会を開催し、前年度までの研究の総括を行うとともに、本科研の方向性について確認した。 2023年度以降は、関西地方、中国地方、九州地方を中心に学校給食にかかわるアクターである、「食マイノリティ」当事者(主に保護者)や学校(管理職・担任・養護教諭・栄養教諭学校栄養士・日本語教室担当教諭など)、行政(文部科学省、教育委員会)や学校給食センター(栄養教諭等)に対して、インタビュー調査を行いつつ、当事者団体への参画も継続して行い、フィールド調査も継続して実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「学校給食における多様性の実現に向けて-「食マイノリティ」の承認をめぐって」(18K02321)の後継課題である。同科研は、2022年度に再度繰り越したため、2022年度は同科研の報告書を兼ねた、広島大学の紀要への執筆に注力せざるをえなかったが、論文執筆の中で、各メンバーがこれまでに収集したフィールド調査の記録や先行文献を再検討したこともあって、結果的には研究の土台を固める好機となった。インタビューやアンケートの実施については予定より若干サンプル数が少なくなったものの、先行研究の検討や、既にラポールが形成されている各フィールドとのネットワーク構築については概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降は 学校単位の調査に加え、複数の学校や自治体、栄養関係者に対して聞き取り調査を予定している。これらの調査を通して「食マイノリティ」が直面する「社会的障壁」の内実と、それらを乗り超えるための解決点を明らかにする。 さらに、一斉共同体主義的な日本の学校給食の特質を浮き彫りにするために、海外における学校給食の食マイノリティへの対応についても 、文献調査によって事例を収集して比較検討する。研究打ち合わせは大阪またはオンラインにて実施、調査結果の共有や検討を行う。 口頭発表ならびに論文投稿は、前回科研の成果とあわせて、日本教育社会学会、日本子ども社会学会、日本比較教育学会 、日本臨床栄養学会で行う。本研究で得られた知見により、「食マイノリティ」の子どもたちにとって安全・安心であり、かつ誰もが排除されずに多様性が尊重される合 理的配慮の提供方法と、共生を可能とする条件の提示を、社会に広く発信することが可能となる。
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Causes of Carryover |
2022年度上半期に予定していた対面での研究会や、遠方でのインタビュー調査がオンラインでの実施となったことにより、旅費の執行がなくなったために、次年度使用額が生じた。2023年度以降は対面での調査の機会を増やす予定である。
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Research Products
(1 results)