2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Local Educational History on "Cooperativity" in Modern Japan
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22K02271
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
塩原 佳典 畿央大学, 教育学部, 准教授 (40769650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 和明 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (70825934)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域教育史 / 地域医療史 / 在村医療史 / 共同性 / 長野県諏訪地方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、信州諏訪地方(現在の長野県諏訪市、岡谷市など)を主な対象とし、近代日本の地域社会で生存の諸条件を支えてきた共同性の歴史的様態を解明するものである。具体的には、未整理の文書史料(長野県諏訪市博物館所蔵)の整理作業を進めつつ、それらを教育史や医療史の観点から解読・分析していく。 計画の1年目となる2022年度は、パンデミックの影響で複数回にわたり計画の変更を余儀なくされ、十分な現地調査ができなかった。そのなかで年度末となる23年2月に、ようやく諏訪市博物館にて調査合宿を行うことができた。博物館側の助力も仰ぎながら、研究分担者および協力者とともに、未整理文書の目録編制作業に着手した。感染拡大の状況を注視しつつ、2年目以降は精力的に調査を実施し、目録編制の完了を見通せる状況にこぎつけたい。 研究成果としては、20世紀前後における当地の医療環境について仮説的な見通しや論点を中心に論じた研究ノートを発表した。具体的には岡谷地方における公立病院の展開について、蚕糸業の発達にともなう製糸女工人口の増大と関連づけながら検討した。また明治初期の地方博覧会の盛り上がりが地域社会に与えた影響について追究した論文を発表した。具体的には筑摩県(現在の長野県中南部および岐阜県東部)を事例とし、品物の調達をめぐるやり取りや地域間の関係性の変容を明らかにした。このことを通して、諏訪地方をはじめとした地域社会の文化的なネットワークの広がりを検証した。このほか、研究分担者による複数の論考もふくめ、今後の研究を進めるうえでの共通の議論の土台となる成果をあげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で、当初予定していた調査計画を複数回にわたり断念せざるを得ない状況が続いた。ようやく現地調査に着手することができたのは、年度末の23年2月であった。そのため今のところの進捗としては、本研究計画は「やや遅れている」と評価せざるを得ない。ただし遅くなったとはいえ、年度内に調査を始めることができたので、次年度は精力的に整理作業を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
調査受け入れ先の諏訪市博物館に助力を仰ぎながら、夏期・春期を中心に複数回の文書整理調査を実施するよう計画を立てる。また並行して、研究成果の公表に向け学会報告や論文投稿に取り組む。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行の影響で、当初計画していた調査の予定が複数回にわたり中止となった。そのため旅費および人件費を計画通り消化することができなかった。次年度に繰り越し、調査のための費用として使用したい。
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