2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K02294
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
村松 灯 帝京大学, 理工学部, 講師 (70803279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智輝 山口大学, 教育学部, 講師 (60780046)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教育 / 公共性 / 学校選択制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度に実施した研究の成果として、以下の2点が挙げられる。 第一の成果は、1990年代の教育学において公共性論がどのように受容されたのかについて、代表的な論者の議論を検討することを通して整理したことである。政治学における公共性のパラダイム転換を受けて、教育学では当初、教育行政や学校経営に関わる分野、特に学校選択制をめぐって「公共性」が問題となった。その背景として、臨教審の答申をはじめ、新自由主義的改革の波が教育にも及んでいたことがある。こうした新たな改革動向に関する批判的検討のなかで、いわゆる戦後教育学とは異なる思考枠組みが求められ、教育の公共性をどのように考えるかが改めて問われることとなったのである。ただし、「公共性」の内実や、それをどのような射程で捉えるかについては各論者によって異なっており、いくつかの問題圏に分けることができる。また、こうした論者による強調点の違いは、それぞれの理論的基盤(デューイやアレント等)の違いに、少なからず対応しているものと考えられる。 第二の成果は、2000年代以降における公共性パラダイムの展開をあとづけるため、その政治的・社会的な背景を整理したことである。検討にあたっては、とりわけ福祉システムや産業構造の変容に着目した。小玉(1999)は、1990年代アメリカの教育改革において、「公共性」が「争奪の対象」となっていたことを指摘するが(小玉重夫『教育改革と公共性』東京大学出版会)、2000年以降日本型福祉の矛盾が顕在化していくなかで、「公共性」は再び「争奪の対象」となっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおり、1990年代における公共性のパラダイム転換と、2000年代以降の展開ないし変容について検討を進め、一定の成果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究について、以下の3点を念頭に推進していく。 第一に、2022年度に実施した研究の成果を発表し、議論を深めていくことである。2023年度には、学会発表と論文の投稿を予定している。 第二に、政治的主体化の教育に関する理論と実践に対して、教育学における公共性論の受容がどのような影響を与えたのかについて検討を進める。本研究の目的は、政治的主体化の教育に対して公共性パラダイムがもたらしたインパクトを見きわめ、その思想的意義を明らかにすることである。今後は、公共性パラダイムの形成と展開の過程と、政治的主体化の教育に関する議論の動向との関係を明らかにすることを目指す。 第三に、政治学における議論の動向を検討することである。1990年代の教育学における公共性パラダイムの形成は、政治学における議論に大きな影響を受けている。この影響の内実を明らかにするとともに、2000年代以降政治学ではどのような議論の展開が見られたのか、現実の政治動向との関連に着目して検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響があり、資料収集や研究分担者との打ち合わせのための旅費への支出が、当初の計画よりも少なかったため。代わりに文献研究を進めたため、研究の進捗に影響はない。 次年度使用額は、上述の旅費及び物品(文献)の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)