2022 Fiscal Year Research-status Report
Practical Competency to be Cultivated through Interactive Case Scenario Education : Focusing on Non-Cognitive Skills
Project/Area Number |
22K02306
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山田 康彦 三重大学, 教育学部, 特任教授(教育担当) (30220411)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 健夫 武庫川女子大学, 教育研究所, 教授 (20174469)
根津 知佳子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (40335112)
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70402675)
中西 康雅 三重大学, 教育学部, 教授 (00378283)
大日方 真史 三重大学, 教育学部, 准教授 (00712613)
守山 紗弥加 三重大学, 高等教育デザイン・推進機構, 特任講師(教育担当) (50701439)
前原 裕樹 三重大学, 教育学部, 准教授 (00755902)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | PBL教育 / 対人援助専門職養成 / 対話的事例シナリオ教育 / 実践的指導力 / 非認知的能力 / 教員養成教育 / アクティブ・ラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の対人援助専門職(教諭、保育士、介護福祉士等)には、単に知識や技術だけでなく、コミュニケーション力など非認知的能力を含む総合的な実践力が求められている。しかしそうした課題に応える養成教育は十分に開発されていない。本研究はPBL教育に基づく対話的事例シナリオ教育によって、その課題に応えようとするものである。 その目的は以下の2点である。すなわち、1)対人援助専門職に必要とされる資質・能力(認知的・非認知的能力)を明らかにすること、2)それらの資質・能力(実践的指導力)の基礎を培う上で有効なPBL対話的事例シナリオを開発し、同時にその教育効果を可視化し検証することである。 2022年度の計画は、1)教員養成、保育士養成、特別支援、及び高校福祉の各分野の研究分担者・研究協力者と共同して、対人援助専門職として必要とされている資質・能力を明らかにする作業を行うこと、2)対人援助専門職として必要とされている資質・能力の養成に適した対話的事例シナリオの開発及び実践を進め、その結果を学会等で発表することの2点だった。 研究計画1)では、①実践的指導力は認知的能力(専門的知識、技術知)と非認知的能力から成り立つ総合的な能力であること、②そこでの非認知能力とは、特に、視点を変える力(多角的な視座)・胆力(レジリエンス)・コミュニケーション力・自己肯定感や倫理観・協同力が挙げられるが、とりわけ「相手に「寄り添い」(立ち位置を近づける)、状況を規定しているさまざまな要因に気づき、相手の世界を共感的に理解する」能力が必要なことを明らかにした。 研究計画2)については、そうした認知的能力と非認知的能力から構成される実践的指導力の養成に考慮した対話的事例シナリオを、教育養成各分野のみならず、保育士、介護福祉士、看護師・保健師という職種の養成にまで対象を広げて開発し実践を進めた。その成果を学会で報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、1)対人援助専門職(教諭、保育士、介護福祉士等)に必要とされる資質・能力を明らかにすること、2)それらの資質・能力(実践的指導力)の基礎を培う上で有効なPBL対話的事例シナリオを開発し、同時にその教育効果を可視化し検証することである。 研究1年目の2022年度の計画は、1)対人援助専門職として必要とされている資質・能力を明らかにする作業を行うこと、2)そうした資質・能力の養成に適した対話的事例シナリオの開発及び実践を進め、その結果を学会等で発表することの2点だった。 こうした研究計画に沿って、以下のように着実に研究を進めることができた。研究全体については、多様な対人援助専門職養成に関わる研究代表者・分担者・協力者による研究会を毎月開催して進めることができた。そして研究計画1)については、①実践的指導力とは認知的能力と非認知的能力から成り立つ総合的な能力であること、②そこでの非認知能力として特に求められるのが、視点を変える力(多角的な視座)・胆力(レジリエンス)・コミュニケーション力・自己肯定感や倫理観・協同力であるが、とりわけ「相手に「寄り添い」(立ち位置を近づける)、相手の世界を共感的に理解する」能力が必要なことを明らかにした。 研究計画2)については、認知的能力と非認知的能力から構成される実践的指導力養成に考慮した対話的事例シナリオを、教育養成各分野のみならず、保育士、介護福祉士、看護師・保健師という職種の養成にまで対象を広げて開発し実践を進めた。そのなかで、相手の「声を聴く」能力の必要性に着眼した対話的事例シナリオなどが新たに開発され、対話的事例シナリオを使用した教育が非認知的能力の育成に効果を上げていることなどが明らかになった。 これらの成果を第29回大学教育研究フォーラムの参加者企画セッションで発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の研究計画通りに、今後の研究は以下のように推進する。 本研究の2年目の2023年度は、1年目の成果をふまえ、明らかにしてきた対人援助専門職として必要とされている資質・能力の養成に適した実践力を育成する対話的事例シナリオの開発及び実践をさらに進める。同時に、1)対話的事例シナリオ教育を経験した学生に対して、そこで身に着いた認知能力及び非認知能力について、ルーブリック評価、事前・事後のコンセプトマップ評価による比較調査を実施するとともに、2)対話的事例シナリオ教育の残存効果についても、現場実習直後や各専門職就職後にアンケート及びインタビュー等による調査を通して検証する。それらの調査結果を第30回大学教育フォーラム等の学会で発表する。 研究最終年度の2024年度は、研究のまとめとして、1)対話的事例シナリオ教育で身に着けることができた認知能力及び非認知能力のリストアップ、実践的指導にかかわっての分野ごと(教育養成各分野、保育士、介護福祉士、看護師・保健師等)の独自性や共通性の整理と意味付けを行うとともに、2)研究成果をまとめて口頭及び冊子の形で発表し、同時に本研究のホームページにも詳細を掲載し公開する。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な原因は、旅費が未使用になっていることによる。本研究では、1)研究代表者・分担者・協力者による共同研究を密に進めるために毎月研究会を開催する、2)当該研究に関連する対人援助を専門とする実践者と研究者にヒアリング調査を行う、3)研究成果を学会等で発表する、という3点で旅費を使用する計画を立てていた。しかし新型コロナウイルス感染症拡大のために、1)2)3)のすべてがオンラインでの実施や開催になった。そのため旅費を支出することができなくなったためである。 しかし研究自体は、工夫することによってオンラインでも計画通りに進めることができた。ヒアリング調査については、旅費は使用しなくとも、積極的に進めたため謝金等を計画より多く支出することになった。 次年度は、当初の計画以上に、対面によって研究会の開催、研究成果の検証、成果の発表を予定しており、次年度使用額も使用する計画を立てている。
|
Research Products
(22 results)