2023 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Study on Regional Development of Mutual Development through Collaboration of Education and Rehabilitation -Verification through State Surveys
Project/Area Number |
22K02308
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
内田 純一 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 教授 (80380301)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 相互発達 / 地域づくり / 社会教育 / 状態調査 / 公民館 / 発達援助専門職 / ケアー / 療育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域における相互発達機能の創出の論理を実践的に明らかにしようとするものである。具体的には、社会福祉法人ぷらうらんどが設置・運営する「ぷらうらんどKominkan(以下「Kominkan)と略す」の実践を手掛かりに、①「人間発達」概念の捉え直し、②「療育」に「教育」の視点を加えた担い手(発達援助者)の養成、③職員・保護者・地域住民「状態調査」による学習を通した「相互発達機能」の検証を行うこととしている。 3年計画の2年目は、地域に開かれた運営方針を持つ「Kominkan」の実践が地域住民に及ぼす影響について、住民からの聞き取り調査を主に研究を行った。聞き取り及び分析の対象は、主として自治会活動の変化についてである。「Kominkan」が設置される前の当該地域の自治会活動は、集会所における年2回の自治会総会と時おり村から依頼される介護予防事業以外にはほとんどなされていなかった。自治会長のA氏は「前々から何かしたい思いはあったが自分たちだけはできなかった」と述べている。「Kominkan」が設置されてからは、数十年ぶりに地域の七夕祭りが復活したり、押花教室や折紙教室、ひな祭りや展覧会など、「Kominkan」に通う子どもたちや保護者、職員をその都度巻き込んだ活動が動き出している。年に数回しか使われていなかった集会所も、毎日のようにオープンし「ぬくもり処」という名称までつくことになった。一方で、ぷらうらんど事業としても「相互発達による地域づくり」を活動の柱に掲げ、「地域まるごとよろず相談」「里山まるごとDIY」「作り食べるおすそ分けファーム」「和太鼓継承」「合同防災訓練」などが計画・実施され、両者の協働による成果を確認できた。こうした動きの中、現在、地域全体のウェルビーイング構想づくりが始まっており、本研究も何らかの形でその構想づくりに貢献できないかと対話を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画における①「人間発達」概念の捉え直し及び②「療育」に「教育」の視点を加えた担い手の養成の理論研究に関しては、概ね計画通り進んでいるが、③職員・保護者・地域住民「状態調査」による検証については、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から計画が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで同様、研究フィールドである地域及び「ぷらうらんどKominkan」の活動に頻繁にかかわり、アクションリサーチ型の研究を進めていく。最終年度ということもあり、当初計画の本格的な「状態調査」の実施までは至らないにしても、その趣旨である研究結果を職員・保護者・住民へフィードバックしながら相互発達の地域づくりの協働実相を進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、感染症拡大防止の観点から現地への訪問回数減や「状態調査」の未実施に伴う人件費・謝金の一部残額が生じたためである。 当初の計画通り、最終年度は、調査研究過程を活用しつつ、外部講師を交えた研究会とシンポジウムの実施、そのまとめの作成に関する経費として充当する予定である。
|