2023 Fiscal Year Research-status Report
Endogenic School and Community Innovation in Rural Korea ;Focusing on the Continuation Factors of Small-Scale School Revitalization Cases
Project/Area Number |
22K02333
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
尾崎 公子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (90331678)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 耕生 豊岡短期大学, その他部局等, 准教授 (00791196)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 教育エコシステム / 小規模校存続事例 / 社会的協同組合 / 革新教育地区 / 人口減少 / 官民学連携ガバナンス / マウル教育共同体 / 持続可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、韓国の小規模校存続事例に着目し、継続要因を解明することにある。 韓国では、教育エコシステムアプローチによって、学校と地域間関係の再構築が図られている。京畿道教育庁は、革新学校という公立学校の改革モデルを全国に先駆けて制度化し、さらに革新の対象を学校に止めず地域にも広げ、2011年から革新教育地区事業に着手した。革新教育地区とは、広域教育庁と基礎自治体の協約により共同事業を推進する地区のことであり、「マウル(地域)教育共同体活性化支援条例」(2015)を制定し、事業展開を図ってきた。マウル教育共同体の形成と活性化を促すなかで、教育行政と一般行政、さらに学校、保護者、市民活動家など、さまざまなアクター・セクターがマウル教育共同体形成に関与する主体となって、子どもの教育支援を担う態勢を教育エコシステムという概念で捉えている。同様の条例は各地で制定されてきており、官民学連携ガバナンスの基盤づくりが進んでいる。さらに、教育エコシステムは、オルタナティブな社会経済システムの構築と結びつけられている。韓国では、連帯と互酬による新たな社会経済システムを社会経済と名付け、法整備や事業を進めている。社会的協同組合の中に教育協同組合が含まれ、学校と地域の協働を支える仕組みのひとつとなっている。 以上の韓国の教育エコシステム概念や学校協同組合に着目した先行研究は蓄積されていない。そこで、2023年度は、教育エコシステムアプローチによって学校と地域の関係がいかに再構築されているかの実態を捉え、学校と地域の持続可能性の要件について示唆を得ること目的として、革新教育地区事業を展開している忠清南道洪城郡洪東面・長谷面に訪問調査を実施した。得られた知見は次の2点である。①トップダウンでもボトムアップでもない官民学の有機的連携ガバナンスの構築②連帯と互酬性に基づく社会的経済の導入。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度までに、小規模校存続事例の継続要因として、学校と地域の協働関係を構築する概念として教育エコシステム、仕組みとして社会的協同組合に着目し、文献調査を進めてきた。2023年度は、訪問調査を実施して、学校改革に焦点をあてる革新学校政策から地域にも対象を広げた革新教育地区政策への展開において、どのように教育エコシステムの構築が図られているのか、教育エコシステム構築のために、学校協同組合がいかなる働きをしているのかに関する事例研究を遂行することができた。 以上から、概ね順調に進展していると評価しうる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、韓国の小規模校存続事例に着目し、継続要因を解明することにあり、4つの分析観点を設定している。すなわち、①学校特性②学校と地域をつなぐプラットフォーム③若者の視点からの事例検証④地域特性である。 これまで、②の観点を中心に教育エコシステムという理念、社会的協同組合という仕組みに着目して研究を進めてきた。2023年度においても、革新教育地区の訪問調査を実施して、①、③、④についての分析を進める。特に、地域に定着した若者の視点からの事例検証を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、訪問調査を予定していた調査協力者がcovid-19に罹患して参加が叶わず、旅費支出がなかったことがあげられる。当該助成金は、令和6年度の訪問調査にかかる費用として使用する計画である。
|