2023 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期のジェンダー・ニュートラル保育が子どもの決定・判断におよぼす効果の検証
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22K02338
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
小湊 真衣 帝京科学大学, 教育人間科学部, 講師 (60742731)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多様性 / ジェンダー / ジェンダー・ニュートラル / 保育プログラム / 保護者 / 保育者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、保育所にて乳幼児を対象にしたジェンダー・ニュートラル保育を実施し、家庭とも連携することで、子どもの意思決定や判断する力がどのように育っていくかを検討し、今後の保育・教育現場で応用可能なプログラムを作成することである。 2年目にあたる2023年度は、前年度に引き続き調査協力園の募集をすすめ、施設長などとの打ち合わせや説明会の実施などを経て13園からの承諾を得た。その後、研究代表者が所属する大学にて倫理審査を受け、研究実施の承認を得た(承認番号:23A023)。 調査協力が得られた13園を実験計画に基づき3グループに分け、ジェンダーニュートラル保育を行うことを依頼した園に対し多様性やジェンダーに配慮した教材を協力園に送付し、それらの教材を用いた保育の実施を依頼した。介入前のベースラインを測定するため、全ての協力園の保育者および保護者を対象にジェンダー・ニュートラル保育や多様性配慮のあり方に関するアンケート調査を実施し、保育者92名(回答率約47%)保護者166名(回答率約31%)からの回答を得た。また、調査協力園全園にて子どもが教材を使用している様子やそれを用いたやりとり場面の観察を行うとともに、現場で応用可能なプログラム作成にむけ各園にて保育者を対象としたインタビュー調査を実施した。 アンケート調査の結果、偏見をなくすための幼少期からの取り組みについては保育者保護者ともに大切であると考えている傾向がある一方で、ジェンダー平等に関する取り組みについては根強い偏見や誤解が多く存在しており、考え方にも個人差が認められる可能性が示唆され、こうした家庭や園での現状をふまえた上でのプログラム作成が必要であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に新型コロナウイルス感染症等による影響で、事前に調査協力の承諾が得られていた園の経営者が変更となり、調査協力園を新規開拓する必要が生じた。新たな調査協力園は得られたものの、各園との個別のやり取りおよび打ち合わせに時間を要し、教材の送付およびプログラムの開始が当初の予定よりも5か月遅れとなってしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画どおり、対照群以外の園において1年間のジェンダー・ニュートラル保育を実施してその効果を検証し、さらに半年経過後に再度効果を検証するための調査を実施することで、ジェンダーニュートラル保育を園および家庭で実施することによる影響について検討する。その後、それらの結果をもとに今後の保育・教育現場で応用可能なプログラムを作成し、そのプログラムもしくは教材を公表する。
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Causes of Carryover |
前年に引き続き新型コロナウイルス感染症による影響により、旅費を使用して調査協力園を訪問する回数に制限が生じたことに加え、研究成果を公表することについても制限が生じ、前年度で行うべき調査内容および学会発表等を次年度に実施する計画となっため。
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