2022 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Research on the Evaluation of Evidence-Based Education Policy
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22K02371
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
山下 絢 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (80614205)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 少人数学級 / 学級規模 / 学習環境 / TALIS |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、学級規模と学習環境の関係について定量的に検討した。具体的には、学級規模の相違によって、授業の開始遅れ、授業の中断、教室内の騒がしさといった学習環境に違いが見られるのか、その基礎的分析を行った。分析は、OECDが教師を対象として学校の学習環境および勤務環境を調査した「教員指導環境国際調査」(TALIS)をもとに行った。分析の結果、第1に、学級規模と学習環境状況(授業の開始遅れ、授業の中断、教室内の騒がしさ)の関係は、小学校、中学校、両者ともに、線形ではなく二次曲線の形状が確認され、限界効用逓減の状況であることが示唆された。第2に、小学校の場合には、学級規模と学習環境状況は、学級規模大きい場合において、学習環境状況に改善の余地があることが確認された。また、学級における低学力層がいる場合といない場合に分類して学級規模と学習環境の関係を確認した場合、低学力層がいる場合の方が、学習環境において改善の余地があることが確認された。第3に、中学校の場合には、学級規模が大きい場合だけではなく、小さい場合でも学習環境状況に改善の余地があることが確認された。このことから、小学校と中学校では、学級規模が学習環境状況に及ぼす影響が異なることが示されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究の調査、分析で使用するデータの把握(TALIS)、学級規模と学習環境の関係についての分析を実施ができた。ただし、学会発表や論文投稿はできておらず、進捗状況としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、今年度に行った学級規模と学習環境の関係についての分析を精緻化することである。次に、ICT活用の視点も加えた分析を行うことである。GIGAスクール構想のもとでICTの環境整備が行われ、ICT端末の整備は最終段階ともいえる状況になっている。このような状況変化に加えて、研究初年度において、学級規模と学習環境の関係に焦点をあてたことを踏まえて、今後の分析では、ICT活用の視点も加えた分析を行っていく。
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Causes of Carryover |
(1)統計分析ソフトの購入が単年度契約のサブスクに変更したことにより今年度は支出が減額したが、来年度以降も単年度契約のサブスク費として支出予定である。(2)研究補助のための謝金を計上していたが、代表者が代替したため今年度は使用しなかった。来年度は使用予定である。
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