2023 Fiscal Year Research-status Report
アジアの日本人学校に通う海外子女の現地理解とポストコロナ時代の海外子女教育の展望
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22K02373
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
渋谷 真樹 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (80324953)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 海外で学ぶ日本の子ども / 日本人学校 / 国際理解教育 / 現地理解教育 / 異文化間教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アジアの日本人学校で学ぶ日本人児童生徒を対象に、I. 海外子女の現地接触や理解と、 II. 日本人学校の現地理解教育の実態を実証的に明らかにしたうえで、III. ポストコロナ時代において、パンデミックや治安悪化といったリスクを管理しつつ現地との交流や異文化の理解を促していくための、海外子女教育の方針や方法を構想することを目的とする。2年目にあたる2023年度は、このうちIと IIを行った。 まず、I. 海外子女の現地接触や理解を明らかにするために、海外子女教育振興財団の発行する海外子女文芸作品コンクール作品集『地球に学ぶ』(1979~2021) 計41集をもとに、アジアの日本人学校で学ぶ日本人児童生徒は、どの程度在住国の人々や文化に触れ、どのような経験や学習をしているのかを分析した。さらに、東京学芸大学国際教育センターの発行する『在外教育施設における指導実践記録集』(1978~2021) 計42集をもとに、アジアの日本人学校では、どのような理念のもとに、いかなる現地理解教育を行っているのかを分析した。このうち、ミャンマーに関する分析を、”Japanese Students Understanding of Their Host Country: A Case Study of a Japanese School in Myanmar“としてWorld Education Research Associationで口頭発表した。 さらに、日本人学校で学んだ経験のある者4人に対して、現地の人や文化との接触経験や現地理解の阻害・促進要因などを質問するインタビューを行った。くわえて、日本人学校での教育経験のある者3人に対して、実践した現地理解教育(内容、方法、成果、課題など)をたずねるインタビューを行った。データ分析を同時並行して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外子女文芸作品コンクール作品集からの日本人児童生徒の現地理解の分析、および、『在外教育施設における指導実践記録集』からのアジアの日本人学校における現地理解教育の分析については、ほぼ予定通り遂行できた。成果の一部は国内学会で発表予定だったが、国際学会で発表できたので、計画以上の成果であった。 これまでに日本人学校で学んだ経験のある者に対するインタビューは5人、日本人学校での教育経験のある者に対するインタビューは3人に完了し、現地理解教育の成果や課題、変遷についてデータ分析をすすめている。 日本人学校への訪問が実施できていないので、次年度は計画的に交渉をして、実現させる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
児童生徒の作文や日本人学校教諭の実践記録については、今後の学会発表や論文投稿時にも補足的なデータとして利用していく。 日本人学校で学んだ経験のある者、および、日本人学校での教育経験のある者に対するインタビューは、次年度も引き続き進め、9月を目途にデータ収集を終える。同時にデータ分析をすすめていく。結果を国際学会で発表し、論文として投稿する予定である。 作文や実践記録、インタビュー調査に基づいて訪問する日本人学校を複数選定し、次年度前期中に調査依頼をする。訪問先では、授業を参観するとともに、現地理解教育の実践や課題について、複数の教員に聞き取りを行う。 上記を踏まえて、感染症や治安、反日感情などのリスクを管理しつつグローバルな能力を育成するための海外子女教育の方針や方法について考察していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最大の理由は、予定していた海外調査が延期になったためである。2023年度は、作文や実践記録の分析とその成果発表の他、過去に日本人学校に在籍した人々や元教員へのインタビューを優先的に行っていた。そのため、データ整理のための人件費や文字起こし代が計画以上にかかった一方で、旅費に余剰が出た。 次年度は、延期していた海外調査を実施し、繰り越した旅費を執行する予定である。
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