2022 Fiscal Year Research-status Report
ROCFと視線移動計測の分析によるドロップアウト・リスク児の学習支援法確立研究
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22K02380
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中野 広輔 愛媛大学, 教育学部, 教授 (60735330)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 視線計測 / 健常大学生 / 音読課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
視線計測を神経発達症の子どもの認知機能特徴を把握するために利用するのがこの研究の目的である。そのために初年度はGazefinderという視線計測装置を入手し、その操作方法に習熟することが最初の目標であった。JVC社の担当者に適宜相談しながら初期設定やデータの操作方法を会得した。その次の段階として初年度は「定型発達の若年成人で試用し、子どもや神経発達症児へ応用していくためのコントロールとする」という目的があったため、健常大学生たちに被験者となってもらった。約20人の大学生のデータを収集することができたことで判明したことは、①Rey Osterrieth Complex Figure(ROCF)を描画するときの視線は、解像度的に困難である、ことと②「てみて」という発達コンテンツは全員からデータが得られた、こと、③音読課題時の視線の移動はほぼ正確に記録できた、ことである。まず①に関してはBQSSという規格のROCFをタブレットに描画しながら、模写するときの視線をGazefinderで記録するという計画であったが、線分が非常に細かい図形のため視線計測装置でどこを見ているかの違いを描出することが困難であった。今後もROCFを主たるタスクに利用するのは難しいと判明したが、それも大きな知見である。②の「みてみて」は乳幼児や自閉症児の報告しかない中で健常大学生の事後感想もセットでデータ収集できたことは大きな実績である。③はディスレクシアを判定するための例文を刺激として用いたが、適切に記録が可能であった。3種類の単文でのみ実施したため、今後は分量を増やすなど発展させていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの機器を購入でき、使用方法にも習熟することができた。また、計画通り健常大学生を被検者にしたデータも得ることができたため、それらは計画通りである。ROCFが実用的には視線計測が困難と判明したため、100%の達成とは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は①健常大学生により多量の音読課題を試みる②定型発達の子どもの使用感を得る③神経発達症傾向の被検者のデータ収集をトライアルする、ことが今後の目標である。
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Causes of Carryover |
実験による精神疲労測定をする機器など半導体不足の影響から当該年度内に入手困難な状況があったため。次年度に入手出来次第、被検者の疲労や緊張を評価しながら進めていく予定である。
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