2022 Fiscal Year Research-status Report
多文化共生社会に向けた身体表現活動ーデジタルコンテンツの活用と開発
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22K02385
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
弓削田 綾乃 和洋女子大学, 家政学部, 准教授 (90432038)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 身体表現 / デジタルコンテンツ / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、身体表現とデジタルコンテンツの組み合わせによる多文化体験が、幼児の内面世界を豊かにし、多文化共生社会の一助となりうるという仮説を検証することを目的として進めている。具体的には、1.既出の幼児向けデジタルコンテンツの内容構成の分析、2.保育施設での活動・活用状況の把握、3.多文化との出会いと気づきを促すデジタルコンテンツと身体表現プログラムの提案、4.プログラムの検証を柱とする。 2022年度は、主に「1」に取り組み、①研究動向の整理、②身体表現に関わるデジタルコンテンツの特徴を明らかにした。研究方法は、文献調査及びコンテンツの構造分析である。 その結果、保育現場でのICTの活用は1980年代から始まり、特にコンテンツの開発に着目すると、2000年代から急速な発展がみられた。そこでは、導入に伴う保育者の関り方が大きな課題の一つであると考えられた。 これを受けて分析対象としたのは、テレビ番組「おかあさんといっしょ」の身体表現コーナー(2007年4月~2012年3月放送)である。身体表現の素材・背景・モチーフ・動作・文化的基盤、全体構成、音曲、セリフ等を分析した。その結果、身体表現には4類型があり、それぞれ異なる文化背景をもつ舞踊が素材となっている点、それらが子どもにとっての身近なモチーフに置き換えられている点が明らかになった。また、リズミカルで易しい動きの反復とバリエーションによって、イメージを広げていく構成であると考えられた。以上の特徴を踏まえた上で、一方的な視聴ではなく、対話ややりとりが生まれる双方向型展開が、多文化体験には重要であると考察した。 本成果は「多文化共生に焦点をあてた子どもの身体表現とデジタルコンテンツ」として、和洋女子大学紀要第64集(2023年3月)に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、2022年度中に、1.研究動向の整理と既出のデジタルコンテンツの収集・分析、2.保育施設での実地調査の2つに取り組む計画であった。しかし、「1」に時間がかかったため、「2」は次年度の取り組み課題とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に保育施設での活動・活用状況についてアンケート調査(インターネット)を実施し、その結果を分析して、和洋女子大学紀要に論文投稿する。またそれと並行して、デジタルコンテンツを用いた身体表現プログラムを作成するために、素材を収集し、試作する。
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Causes of Carryover |
実地調査の未実施(次年度実施予定)および学会大会旅費の未使用のため、次年度使用額が生じた。これらは、2023年度に取り組む課題に変更しているため、2023年度の研究費として使用する。
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