2023 Fiscal Year Research-status Report
定型・発達障害児への実行機能育成プログラムのリモートレッスンの構築と発達評価
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22K02393
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
松村 京子 佛教大学, 教育学部, 教授 (40173877)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 実行機能 / 児童 / 幼児 / 発達障害児 / リモート / 介入研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
感情,行動,思考の制御は,実行機能と呼ばれる脳内プロセスに依存している。そのため,実行機能は子どもの学力と対人関係の両方を左右する能力として欧米では注目されている。その感受期とされる就学前後の子どもを対象とした実行機能向上のための介入研究が盛んに行われているが,日本においてはあまり知られていない。そこで,筆者は北米の教育プログラムを参考に,実行機能を向上させるSocial Thinking & Academic Readiness Training (START) プログラムを開発し,子どもたちの実行機能の向上のために国内各地で介入研究を実施してきた。しかし,新型コロナウィルス・パンデミックの中,対面方式の介入研究を進めることは難しい。一方,学校では児童一人一台端末と高速通信環境のGIGAスクール構想が急速に進行しており,対面授業から大きく変化しつつある。そこで,従来,STARTプログラムの研修を受けた担任教師が行っていた指導を,外部の専門家がリモートで行い,また,これまで子どもとの対面で実施していた実行機能の課題測定をリモートで実施し,安全で学校に負担なく実施できる研究方法を構築する。 2023年度は,広島県の3つの幼稚園の5歳児を対象として,1園をSTARTプログラム介入群,2園を通常実践群とした。介入群の5歳児はSTARTプログラムのレッスンをDVDで毎日,5週間,視聴した。開始前後で5歳児の実行機能をリモートで測定した。さらに,標準実践群はSTARTプログラムを行い,その後,実行機能及び教室行動をリモートで測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リモートでの子どもたちの実行機能の個別測定は,スムーズに実施できたと思われる。また,各園の各クラスでの子どもたちの行動を分析し,教師の指示に対する応答性をリモートで測定することができた。これらは,本研究の目的の一つであり,計画通り進めることができたといえる。しかし,STARTプログラムのレッスンが担任教師による指導ではなく,DVDで行われたため,子どもたちがどの程度,理解できたか,介入効果がどの程度なのかは明らかではない。今年度,詳細な分析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,2023年度の研究結果の分析を行い,成果をまとめたいと考えている。 また,STARTプログラムを基盤として,発達障害児の個別リモート支援も進める予定である。
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Causes of Carryover |
2024年3月まで介入研究を実施していたため,予定していたデータ整理・分析の補助のアルバイトが実施できなかった。2024年度に引き続き行う。
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