2022 Fiscal Year Research-status Report
『赤い鳥』時代の童謡詩人スズキヘキの生涯と活動の全貌の解明
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22K02413
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
加藤 理 文教大学, 教育学部, 教授 (20383466)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 童謡 / 児童文化 / スズキヘキ |
Outline of Annual Research Achievements |
スズキヘキの書簡類と制作した童謡作品のデータ化に取り組んだ。手紙類はデータ化の前に内容を解読する作業を並行して行ったため、予想以上に時間を要した。また、100年ほど前の手紙類なので、状態の悪い手紙が多く、解読作業とデータ化作業には困難が伴った。さらに、文字のくせが個々人ごとにあり、その解読にも苦労を要している。開閉と取り扱いが難しい手紙類のデータ化は、今年度は試しにデータ化したため、本格的な作業は次年度まで持ち越されている。 手紙と併せて手帳類のデータ化も一部進めた。ただし、こちらも状態が悪くなった手帳の扱いに慎重を期さなければならず、この点でも作業の進行は予定より遅れ気味である。 ただし、これらの作業の過程で、宮沢賢治がヘキ宛てに出した手紙を発見することができた。この手紙は、全集にも未収録の新発見手紙で、手紙の内容について宮沢賢治学会イーハ宮沢賢治学会イーハトーブセンター会報66号で報告した。さらに賢治の手紙が発見されたことについて河北新報で報道された。手紙の内容に関する詳細な分析と考察は、宮沢賢治学会紀要に投稿中である。新発見手紙は賢治研究の進展に大きく寄与するものであり、今回の科研費による研究の大きな成果と評価することができる。 今年度は、引き続きヘキの手紙のデータ化を進め、今年度中に手紙類のデータ化を完了させたい。そのうえで、手紙から明らかになるヘキの交友の実際について分析と考察を加え、論文として成果を報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた手紙類のデータ化が、予定の8割程度終了し、さらに予定していなかったヘキの童謡作品のデータ化も進んでいる。また、手帳類は来年度から始める予定だったが、確認の意味もあって一部データ化をしてみたところ、順調に作業できる見通しも立った。 これらの状況から、おおむね順調に進展していると判断することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、残りの手紙類のデータ化を進める。手紙類は劣化が激しいものが多いが、その取扱いについて今年度の経験から注意点を抽出し、慎重に作業を進めたい。また、データ化した手紙の解読の進展も図りたい。さらに、手紙類のデータ化と共に、手帳のデータ化も一段と進めていきたい。
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Causes of Carryover |
旅費の使用が予定より少額になったため。事情は、資料を保管している仙台文学館との往復回数が予定より少なかったことと、仙台文学館からの資料の運び出しの費用も予定より少額で済んだため。翌年度分と合算して使用するにあたり、新発見の宮沢賢治資料について、剥離作業を行った現段階で赤外線照射を再度実施する事を計画している。
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Research Products
(2 results)