2022 Fiscal Year Research-status Report
幼児の基本的運動スキルの発達特性~調整力の有効な評価法の開発に向けて
Project/Area Number |
22K02416
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々木 玲子 慶應義塾大学, 体育研究所(日吉), 教授 (80178673)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 幼児 / 基本的運動スキル / 調整力 / 発達 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、子どもの体力・運動能力の低下に加えて、基本的な動きが未習熟であることが問題視されている。特に自身の身体を巧みにコントロールする調整力系の動作は、神経系機能の発達が著しい幼少期に向上的に変容し、この時期にその基盤を十分に備えておくことが重要である。本研究では、自身の身体を巧みにコントロールする能力である調整力に着目し、幼児の日常に見られる様々な動作について、その動作メカニズムや発達的特性を実験および観察により客観的に明らかにすること、ならびにそれをもとにそれぞれの動作の着眼ポイントを整理し、幼児の調整力系動作に関する評価基準を定めることを目的としている。そのことによって、運動能力が低下しているといわれる現代の子どもに向けて、発達段階に応じた調整力系運動能力向上のための支援、指導につながる提案をしたいと考えている。 本年度は、当初の計画に基づき、幼少期の子どもを対象とした調整力や運動スキルの測定および評価法について先行研究をレビューした。海外においては、運動スキルに関する調査方法(assessment tool)としてよく用いられるいくつかのものがあるが、その測定項目は多く、実際の保育現場などで活用するには、状況に応じた適切な項目選択の必要があることが指摘されている。またわが国でも古くから調整力に関する評価については数々の測定項目が提案され、検討されてきた。これら先行研究の議論を元に、今日の保育現場において有効で実行可能な運動スキル項目を選定すべく整理、検討中である。 今後、選定した運動スキルについて、動作分析ならびに発達評価としての妥当性を検証し、評価法として提案できるような基礎データを収集していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の計画のうち、先行研究のレビューを元に幼児期の基本的運動スキルの評価法の整理を試みているが、まだ十分にまとめられていないこと、および実際の子どもを対象とした調査においてもコロナ感染の影響が残り計画通りには進展していないことにより、全体としてはやや遅れている状況だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的運動スキルの一覧を整理し、調整力系スキルの評価の実際へと展開していきたい。また、保育現場での運動や遊びの実際や現状を把握することを目的として、保育者への調査を加えて行い、現状に即したアセスメントと評価を行うこと計画している。 得られた成果については、論文、研究発表および、協力を得られた施設あるいは関連する組織などに対しても成果の一部を随時還元していけるようにする。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、計画当初予定していたヨーロッパでの国際学会への参加を控えたため、旅費の支出がなくなったこと、および謝金が発生する調査や測定等を行わなかったこと、これらによって次年度の使用額が生じることとなった。次年度については、すでに海外での国際学会への参加(研究発表)を計画しているため、使用を予定している。また、調査、測定協力者への謝金等にも支払うことを計画している。
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Research Products
(5 results)