2022 Fiscal Year Research-status Report
1930~50年代児童雑誌における「学習マンガ」ジャンルの形成に係る実証的研究
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22K02428
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
瀧下 彩子 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (50370177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 遊 京都精華大学, 付置研究所, 准教授 (70449552)
山中 千恵 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (90397779)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 学年誌 / 歴史教育 / 子ども学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、国会図書館が所蔵する小学館の学年誌を対象に調査・分析をおこなった。1930年代から1950年代の学年誌の記事について、「支那」や「中国」「中華」をキーワードとして抽出し、子どもに必要とみなされた知識・教養において、同時代の中国がどのように表現されていたかを考察した。戦前日本が政治・軍事・経済的進出をはたす地域として認識し、心象的にはある種ゆがんだ憧憬の対象でもあった中国の情報が、敗戦と同時にシャットアウトされたことは、戦後日本の中国認識の形成に混乱と対立を生じさせている。教科書裁判の展開はその一つの表出としてとらえることができる。その影響は子どもを対象とした学年誌の内容にも見られることが確認できた。 また、北九州市漫画ミュージアムが所蔵するムロタニ・ツネ象(1934ー2021)の漫画作品原画の調査を行い、学習要素が漫画表現に変換される過程を検討した。ムロタニ・ツネ象は新聞漫画の受注から活動を開始したが、1970年代に各社から学習マンガが刊行されるようになると、これを手がけるようになり、主として歴史学習マンガを中心に多くの作品を残している。各巻分業となった現在と異なり、当時の学習マンガは1人の作家が全巻を担当することが多く、紙媒体である原画は、修正や下絵の痕跡が残されており、これを調査することは学習要素がいかにしてマンガ表現に変換されたかを分析する上で極めて有意義である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症を対象としたワクチン接種などを適切に行う事で、出張調査などを積極的に進めることができた。研究計画の進展は順調である
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Strategy for Future Research Activity |
小学館の学年誌以外に、『良い子の友』の記事や勉強まんがの内容について引きつづき調査を進める。また、各誌にて学習マンガとみなしうる作品を抽出し、そのデータベース化を進める。これにより、同時代において子どもに必要とみなされた情報のあり方とマンガ表現との関係を考察する。
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Causes of Carryover |
2022年度は国会図書館の利用制限の影響もあり、資料を実見した上で複写作業を行うことが困難だった。今年度、その他経費による学年誌記事の複写収集を進めたい。
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Research Products
(1 results)