2022 Fiscal Year Research-status Report
小学校入学時の書字における課題の解決に向けたプログラム開発
Project/Area Number |
22K02430
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
齋木 久美 茨城大学, 教育学部, 教授 (60361284)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝二 博亮 茨城大学, 教育学部, 教授 (30302318)
新井 英靖 茨城大学, 教育学部, 教授 (30332547)
細川 美由紀 茨城大学, 教育学部, 准教授 (70434537)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 幼小連携 / 幼児期 / 読み書き / 聴き取り |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児の書字能力の発達段階を判断するための指標とそれぞれの段階に応じた教材開発に際しては、「書ける」ということのみに終始するのではなく、幼児期の遊びを通した学びをふまえ、小学校での読み書きに円滑に接続する方法の検討を行っている。書字能力の獲得のためには、書字以前の、形を認識すること、手指をうまく動かすこと、そして読むことなど様々な段階が関わっている。特に、書き言葉の認知の前段階となる話し言葉を聞き取り、語として認知する段階にも目を向ける必要がある。 当該年度は、幼児期の書字支援のあるべき姿を確認し、読み書き以前の聞こえの実態、遊びを学びにつなげる取組みについて研究を進めた。 幼児が過ごす保育室内の環境が良好な聴き取り環境ではなく、幼児期では雑音レベルが大きいほど聴き取りが困難であることが知られているが、幼児期の「聞こえ」に焦点を当てた研究では、聞き取り能力には発達的変化があり、年齢の上昇に伴って聞き取り能力は向上するが、5・6歳児と比べ、3・4歳児は、個人差が大きいことを考察した。このことから、3・4歳児の言葉を聞き取るといった活動では、言葉を理解するための個別支援が必要といえる。 また、幼児が最初は音として認識していたものを、言葉として認識するプロセスについても配慮が欠かせないことから、幼児期にも使用可能な音韻を使った教材を用いた授業案を、特別支援学校での実例としてまとめ、書籍を発行した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幼児期や学童期の発達をふまえた読み書き指導の教材開発を進めているが、コロナ禍により、幼児教育施設や保護者を対象とした調査研究が計画より進んでいないため、「やや遅れている」と判断した。 また、書字能力の獲得における書字以前の、様々な段階と、書字活動との関連、また小学校入学時の書字の実態についても検討する必要があると考えたからである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も書字教育における問題点をふまえ、その問題を解決するための指標と教材開発を行う。文字習得のための①言語能力、②図形認知能力、③手指の巧緻性の3つの発達について、事例の収集、得られた事例や情報の分析、発達段階と各段階を示す実例の明示された指標の開発、の順に作業を進める。 教材の開発においては、(1)各段階に応じた教材の選定、(2)教材(プリントや動画)の制作、という過程で進めていく。 また幼児の聞くことや、話ことばの理解などについての調査研究も行う。 以上をもとに、実際に幼稚園などや家庭で利用できる書字教育プログラムの開発を検討する。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定していた調査が実施できなかったため、残額が生じた。 そこで、2023年度は、書字の幼小連携を検討するための小学校1年生の書字に関する調査と分析と幼児の言語発達や筆記具操作の実態調査と分析を行う。最終年度となる2024年度は、それまでの調査結果をもとに、言語能力・図形認知能力・手指の巧緻性の観点から幼児の発達に即した教材開発とその活用法を明らかにする。
|
Research Products
(5 results)