2023 Fiscal Year Research-status Report
養育失調をきたす母親の治療・介入法確立のための脳画像エピゲノム解析
Project/Area Number |
22K02432
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
倉田 佐和 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命助教 (50923447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 正太 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神疾患病態研究部, 室長 (50448495)
平岡 大樹 名古屋市立大学, 医学研究科環境労働衛生学分野, 特任講師 (60894764)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 随意運動 / 世代間連鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、年々増え続ける児童虐待に対し、新たな視点からの対策を発展させ、虐待の負の連鎖を断ち切ることを目的とした研究である。具体的には、養育者の神経生物学的な病理機序の解明を試み、1)虐待リスクを反映し、その早期発見・予防に資する脳・エピゲノムマーカーを開発すること、エビデンスに基づき、2)養育失調者への有効な介入・治療の新規枠組みを確立させ、実臨床に取り入れること、など生命医学的な視点に立脚した、養育失調者への治療・予防対策構築を目的としている。 当該研究基準に基づく被験者を約15名、比較対照群として約40名の一般集団の研究参加を得てデータセットの構築を行った。脳の微細構造・神経線維の走行を画像化した拡散テンソル画像(DTI)による全脳探索的な解析を行い、さらに群間比較から見出した白質線維の構造的特徴と臨床的特徴の相関分析も行った。結果として、養育失調には随意運動における力の制御が脆弱である可能性があることが示唆された。幼少期のトラウマ経験の数が多いほど力の制御がより脆弱である可能性も示唆され、養育失調の世代間連鎖が関与している可能性も示された。髄鞘形成や樹状突起の剪定などの脳白質の発達変化は小児期に活発であるため、この時期のトラウマ経験は非定型発達を引き起こす可能性も考慮される。2024年度も対象者のリクルートを続ける予定であり、より規模の大きいデータセットの構築を行い、脳画像解析、DNAメチル化解析、脳画像エピゲノムの関連解析も行い、養育失調の背景にある分子遺伝学的機序を明らかにしていく予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡散テンソル画像(DTI)による全脳探索的な解析結果を論文化することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
より規模の大きいデータセットの構築を行い、脳画像解析、DNAメチル化解析、ホルモン、サイトカインの測定、脳画像エピゲノムの関連解析も包括的に行い、養育失調の背景にある分子遺伝学的機序を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
理由:研究費を効率的に使用したことにより、次年度未使用額が生じた。 使用計画:被験者数を増やしMRI画像の更なる撮像と解析を行う予定としている。唾液のDNAメチル化解析などの委託分析、ホルモンなどの血液検査に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)