2023 Fiscal Year Research-status Report
乳児保育における子どものネガティブな情動調整に関わる発達支援モデルの構築
Project/Area Number |
22K02462
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片山 美香 岡山大学, 教育学域, 教授 (00320052)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 0歳児 / ネガティブ情動 / 保育士 / 調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
0歳児クラスにおいて、2023年7月から12月までの5回、9名(男児7名、女児2名)、保育士3名のクラスで参与観察を行った。登園時の保護者との別れによるネガティブな情動が落ち着く9時~11時の自由遊び、おやつ、設定保育場面を観察対象とした。 子どものネガティブ感情が多く認められた場面は、おまるに座るトイレットトレーニング、並んで絵本を見るとき等に他児の身体が自分の身体にあたった驚きや痛みへ反応、おやつで椅子に一定時間座ることへの抵抗であった。 いずれも、子どものネガティブな感情が出現し始めたところで主担当保育士がアイコンタクトをし、安心感を与えるよう一定時間視線を合わせていた。それでも安定しない様子が見えると、動揺を歌い始める場面が多く認められた。すると、他の保育士も合わせて歌い始め、子どもの落ち着きを促す歌いかけが続けられた。すると、子どもは歌いかける保育士を注視しつつ、徐々にリズムに身体を合わせるような行動が認められるようになり、落ち着いていく様子が見て取れた。それでも、情動調整できない場合は、いずれかの保育士が側に行って撫でたり、抱っこする等の身体接触を図り、ネガティブな情動を共に抱える状況が認められた。いずれの対応も、子どもが主体的にネガティブな情動を落ち着けていくことに寄り添うことが特徴的であった。 身体的な危険を伴うような、子ども同士のいざこざによるネガティブ情動の出現については、保育士がすぐに間に入り、身体接触を伴う対応をしてネガティブ情動の転換を図っていた。今回観察された事例は、比較的短時間にネガティブ情動の好転が認められたものの、発達に伴い、意思が強固になることによる情動転換の難化が予想される。今後の観察課題としたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナをはじめ、手足口病等の感染症の流行により、予定通りの観察が行えない状況にあったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
改めて0歳児クラスでの参与観察を開始し、保育士がどのような視点を持って、子どものネガティブ情動に気づき、対応をしようとしているのか、保育士にアイカメラの装着を求め、保育士の視点から0歳児のネガティブな情動調整について観察研究を続行する予定である。
|
Causes of Carryover |
予定通りの観察回数が得られず、計画通りの研究が進められなかったため、仕切り直しを行い、改めて観察対象児を設定し、観察研究を開始する予定である。
|