2023 Fiscal Year Research-status Report
「教育される子ども」観の再検討:戦後農村地域における子どもの生活実践の事例から
Project/Area Number |
22K02465
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
増田 仁 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (80510560)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 農村の子ども / 生活改善 / 農家女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、社会学等の理論研究、具体的にはセルトー、ドンズロ、フーコー、社会学史の再検討を行った。セルトーの著作からは、足跡を残さない民衆の生活実践をどう捉えなおすのか、フーコーの著作からは、戦後日本社会における「生-政治」と家庭科・家政学との関係について示唆を得た。ドンズロの著作からは、教育による生活への介入、具体的には配慮の政治学が戦後の農村社会で子どもを対象にどのように展開され、どのような帰結をもたらしたのかについて考察するための理論的視座を得た。 天野正子『生活者とはだれか』『子どもとモノの昭和史』、溝上泰子『日本の底辺』等昭和史、生活史に関する文献を再読し戦後日本の農村生活の状況について検討を行い、子どもや女性の視点から戦後史を解釈しなおしていく手がかりを得た。 『高校家庭クラブ』や戦後の生活普及事業に関する資料を読み直しながら、戦後家政学が日本社会において何をなしてきたのかを農家女性と子どもの視点からとらえ返し、家政学・家庭科の脱構築を試みた。 日本社会学会、教育社会学会、関東社会学会、西日本社会学会へ参加し、多くの研究者と意見交換を行った。特に戦後家政学が行ってきた貧困研究について、最新のジェンダー研究について重要な示唆を得た。 「家庭科の社会学」(家庭科の「再生」を求めて、あるいは食育再考)という題目で熊本県・熊本市家庭科授業研究会での発表を行い、現場の教員と意見交換を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの理論研究を踏まえながら、実証研究を早急に進めること。
|
Strategy for Future Research Activity |
地域の図書館等で資料収集を進めること。
|
Causes of Carryover |
資料整理を自分で行っており謝金が使えていない。今後はバイトをお願いすることで人件費を使っていく。
|