2023 Fiscal Year Research-status Report
北欧4か国の事例を基にした幼児期の音楽実践プログラム開発の試み
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22K02478
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Research Institution | Koriyama Women's Junior College |
Principal Investigator |
深谷 悠里絵 郡山女子大学短期大学部, その他部局等, 講師 (00927288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 政夫 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (70320934)
安部 高太朗 郡山女子大学短期大学部, その他部局等, 講師 (40847711)
柴田 卓 郡山女子大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60762218)
柴田 千賀子 仙台大学, 体育学部, 教授 (80639047)
西浦 和樹 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (40331863)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 音楽教育 / 幼児期 / 主体性 / 保育音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、まず日本の幼稚園や保育園で求められる音楽活動やピアノ技術について、実習後の学生を対象とした質問紙と聞き取り調査を行った。園によって求められるピアノ演奏技術の差から、具体的にどのようなことが要求されているのか、実習を終えての気づきや課題などについて分析・検証を行った。次に、デンマークへの現地調査を実施し、幼稚園4園と音楽教室、施設を訪問した。音楽教育の取り組み、ナショナルカリキュラムにおける音楽の位置づけ等、視察および園長へのインタビュー調査を行った。以上の取り組みから、次のことが明らかとなった。 アンケートの設問「音楽活動に関して困ったことはどんなことか」の回答で、1番多く挙げられたのは「ピアノ技術」に関する記述であり、ピアノを弾くことへの不安や負担を感じている学生が多いことが明らかとなった。ピアノに偏らず子どもたちと一緒に楽しめる音楽活動について理解を深め、音楽活動自体に不安や心配を抱かないような視点や実践のあり方の検討も必要であろう。この点に関しては改めて、国外の実践事例や養成校での取り組みから得られる知見が手掛かりになると確信した。 デンマーク視察およびインタビュー調査では、日本と異なる音楽教育の視点や実践を確認することができた。親や人に見せるための音楽ではなく、子どもが楽しんでできるようになった体験を大切にする、上手に披露することよりみんなで一緒に取り組んだことの達成感を大事にするとされていた。また、いくつかの保育施設では、音楽専門保育士が音楽教育を行っていることがわかった。深谷ら2023においてデンマークのカリキュラムからは日本ほど音楽活動が重視されていないと考察したが、現地調査においては多様な音楽活動が実践されており、リトミックにおいても一般的に実践されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、日本における幼稚園や保育園においての音楽活動と求められるピアノ技術について、質問紙と聞き取り調査を行い「幼稚園教諭・保育士養成校における実習での音楽実技についての考察 ~アンケート調査を通して~」(原著論文) 郡山女子大学研究紀要第60集(査読付き)に掲載した。また、現地調査対象国として挙げている北欧4か国のうち、デンマークへの現地調査を2024年3月に実施した。さらに、澤渡夏代ブラント氏を招聘して学内外の方を対象としたセミナーを開催し、本調査結果を報告した。 2024年度は、デンマークでの調査結果を踏まえた論文投稿とデンマーク以外の北欧3か国での現地調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度は、国内でできる予備調査として2か国のナショナルカリキュラム調査を行ったが、音楽教育に関する文献や先行研究の少なさから、ナショナルカリキュラムにおける音楽教育の位置づけを捉えるには、限界があることが見えてきた。2年目はデンマークへの現地調査を実施し、子どもの主体性を育む音楽教育のアプローチ方法を確認することができた。3年目の2024年度についても、現地調査を実施すべく各国の現地協力者と調整を行っている。幼稚園や保育園だけではなく、養成校についての調査も含めて、保育実践とナショナルカリキュラムとの関連性や保育者の意識について例証研究を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
現地調査等での旅費や謝金の使用ができなかった研究者もいた。今年度からまた計画的に使用できるよう進めていきたい。
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