2023 Fiscal Year Research-status Report
配慮を必要とする保育者養成校の学生に対する実習・就職支援プログラムの開発
Project/Area Number |
22K02479
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Research Institution | Felicia College of Childhood Education |
Principal Investigator |
中村 麻衣子 フェリシアこども短期大学, 国際こども教育学科, 教授 (20832083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 こずえ 武蔵野大学, 教育学部, 講師 (70884047)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 配慮の必要な学生 / 発達障害 / 保育者養成校 / 保育施設 / 保育者 / 実習支援 / 日本語ノンネイティブ学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、実習支援プログラムを考案、試行した。支援プログラムとして、①実習前にアンケートにより要支援学生をスクリーニング、②要支援学生と養成校教員が面談し、具体的な困難事象と対応策を記したサポートシートを作成、③養成校教員が実習園とサポートシートを基に情報を共有し、指導や対応について検討すること、が有効であると考えられた。2023年は2名の要支援学生に支援プログラムを試行した結果、実習不安感等が軽減したことが示された。また、学生と実習先指導者への面接調査から、支援プログラムによって学生は自己理解が促されたと同時に、実習で経験する可能性のある困難への対策となったことが示された。実習先指導者は、実習生の特性理解が深まり指導上の困難が軽減したことが示された。しかし、実習園では特性への配慮・支援に否定的な意見もあり、合理的配慮やダイバーシティに対する理解が不十分であることが課題として明らかになった。 第二に、就職した保育施設での困難事象の分析と、その支援について検討した。発達障害様相を呈する卒業生への面接調査から、①注意されることが多く自己肯定感が下がっており、話を聞いてくれる理解者が必要、②具体的な指導や方策を求めているが、それが本人に合っていない場合も多く、本人と一緒に考えることが重要、ということが示された。養成校教員が卒業生の困り感を聞き、具体的な手立てを共に考えたり、保育施設につないだりするなど、養成校によるフォローアップ支援が有効である可能性が示唆された。 第三に、配慮の必要な日本語を母語としない学生の面接調査を行った。その結果、学外実習では友人や養成校教員からのサポートが得られないことや、日誌などの記録における困難が示された。一方で、外国につながる子どもとの関わりでは言語や多文化の面で活躍しており、多文化な背景をもつバイリンガル保育者が必要とされていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
保育者養成校での実現可能で有効な実習支援プログラムのパイロットスタディを行い、一定の成果が見られた。今後、対象者を増やして効果を検証していく。また、保育施設に就職した卒業生への面接調査から、養成校によるフォローアップ支援の方向性を確認した。さらに、配慮の必要な学生として発達障害(傾向)の学生だけでなく、日本語を母語としない日本語ノンネイティブ学生についても検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年に引き続き、配慮の必要な学生に対する支援プログラムを試行し、効果測定を行う。効果測定には精神的健康度(GHQ)や実習不安感・忌避感等の得点の変化と、実習生および実習先指導者へのインタビューによる量的・質的な指標を用いて評価する。また、支援プログラムの実現に向けて、課題や障害となる事柄を整理する。得られた成果は学会、論文等で報告する。
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Causes of Carryover |
学会(国際大会)発表にあたり、欧米ではなくアジアで開催される学会に変更したため、計上していた予算よりも削減できた。次年度も国際大会参加を予定しているが、円安で旅費の支払額が増えることから次年度使用額が生じた。
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