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2023 Fiscal Year Research-status Report

授業省察力の向上を目指した音楽科新人教師教育プログラムの開発

Research Project

Project/Area Number 22K02506
Research InstitutionBukkyo University

Principal Investigator

高見 仁志  佛教大学, 教育学部, 教授 (40413439)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords実践知 / 新人教師 / 熟練教師 / VRオンゴーイング法 / ウェルビーイング / 知覚・感受 / 新時代の音楽教育 / オンライン授業研究
Outline of Annual Research Achievements

音楽科における教師の実践知モデルに関連させて,ウェルビーイングを基盤とした教師の実践知について論考した。音楽科においても「個人と場(集団)の学びのバランス」「こころの充足と納得解」に配慮した音楽活動について検討することは意義深いと考えられた。「個人」「集団」「こころの充足」「納得解」を切り口に,近年,中央教育審議会が強調する「日本型ウェルビーイング」も視野に入れ,今後のわが国の音楽科授業デザインを展望した。
「つまらない」,「よくない」,「美しくない」は,学校音楽から排除されるべき感受なのか,という視点から,知覚・感受について再考し,音楽科における教師の実践知の向上をめざした。ネガティブな感受を教師が認めない可能性があるとすれば,その理由は何かについて考察を試みた。五つの理由が推測された。①「つまらない」等の背景を教師が見極める実践知の不足。②国の指針による影響のため。③学校音楽における「納得解」を基盤とした実践知の不足。④教員養成課程において,学生に自己決定させる指導が不充分。⑤「ウェルビーイング」を標榜する音楽教育が未成熟。こうした推測理由を援用して,「多様性」「柔軟性」「創造性」をキーワードとした教師の実践知の重要性を提言した。
また今後の調査のためにも,コロナ禍において経験した音楽科授業研究会を,タイプ別に整理した。その中から,「授業録画型双方向オンライン授業研究会」と「メンタリング型個別オンライン授業研究会」の2事例をとりあげ,それぞれの展開を報告した。さらには,2事例における授業者・参観者の自由記述やインタビューを分析することで,音楽科オンライン授業研究会の今後を展望した。その結果,教師には「柔軟性とマネジメント力」「ICTの技術力」がさらに求められ,「価値観の改革」や「自身の気づきを高める遠隔メンタリング」の重要性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

音楽科授業における教師の実践知モデルを再検討し本研究の基盤となる理論的枠組みを構築するとともに,実践知の顕在化に採用する「VRオンゴーイング法」(生田,2018)の妥当性と有効性を検証し,手続きの詳細を決定することはできた。しかし,これまでの申請者の研究(高見,2014改変)の積み上げを想定し,熟練教師と新人教師の比較を通して,とりわけ両者に大きくズレが生じる事象および認知の質的な差異に関して,「外在化」と「授業状況と教授行為の相互作用」の観点から分析ができなかった点で,やや遅れていると判断している。録画させて頂ける音楽科授業が少なくなってきたこと,および,コロナ禍の産物として,対面での授業録画等が制限されていることも,理由の一つである。

Strategy for Future Research Activity

録画可能な音楽科授業をさらに探究しながら,360°からのVR映像を作成する。撮影動画を,360°パノラマ映像として出力する。授業過程に沿って,新人教師と熟練教師のオンゴーイング発話と授業映像を同期させる。さらには,授業場面の詳細,オンゴーイング発話,発話の意味づけを全て文字化し,それらを同期させたデータ一覧に整理する。この一覧に基づいた調査対象者自身の解釈を分析し,実践知を顕在化する。
他方,上記のような調査方法を実現することに併せて,視聴する対象授業がどのようなコンセプトで構想されたものかを検討していく重要性に気づいている。すなわち,新時代の音楽教育,柔軟で多様な側面を包含し,創造的な音楽科授業であるかどうかという点である。例えば,個人の中に存在する対立軸と音楽科教師の実践知について論考を深めること,納得解を重視した音楽科授業づくりの検討(A or Bといった短絡的な構図では説明できない複雑なグラデーションを浮かび上がらせるような授業)等,対象授業の模索が先ではないかとも考えている。こうした,納得解を導く意思決定の視点から,音楽科授業における教師の実践知研究に取り組む方向性も併せて模索している。

Causes of Carryover

理由:研究計画の修正による「備えるべき機器」「情報交換・検討会」の再考によるものである。研究の理論的枠組みの検討を重ねることで,実践知を新時代の音楽科授業に関連付けるといった実践知の構造モデルをさらに検討する目的で,今後の研究方法を修正する必要性が生じている。
使用計画:次の研究方法に適応した研究会,情報交換・検討会にも加えて使用したい。①ウェルビーイングを標榜する音楽科授業。②オン・ゴーイング発話のためのモニター,再現認知のための設備。③国内だけでなく計画にある国際学会への出張費,としても使用していきたい。

  • Research Products

    (7 results)

All 2024 2023

All Journal Article (5 results) (of which Open Access: 2 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 現行学習指導要領を総括する「知覚」と「感受」について2024

    • Author(s)
      齊藤忠彦,津田正之,高見仁志,菅裕
    • Journal Title

      音楽教育学

      Volume: Vol.54 Pages: 80-81

  • [Journal Article] ウェルビーイングの実現をめざした音楽科授業デザイン ─日本とフィンランドの授業比較を端緒として─2023

    • Author(s)
      高見仁志
    • Journal Title

      音楽教育実践ジャーナル

      Volume: vol.21 Pages: 45-54

  • [Journal Article] コロナ禍における音楽科授業研究会の諸相2023

    • Author(s)
      高見仁志
    • Journal Title

      関西教育年報

      Volume: 通巻第47号 Pages: 71-75

  • [Journal Article] 音楽科オンライン授業研究会の課題と展望 ―コロナ禍における音楽科授業研究会の事例分析を手がかりとして―2023

    • Author(s)
      高見仁志
    • Journal Title

      佛教大学教育学部学会紀要

      Volume: 第23号 Pages: 31-39

    • Open Access
  • [Journal Article] フィンランドの教育実践 ―日本との比較から―2023

    • Author(s)
      松村京子,青砥弘幸,二澤善紀,高見仁志,赤沢真世,臼井奈緒
    • Journal Title

      教育実践学研究

      Volume: 第24巻, 2号 Pages: 73-84

    • DOI

      10.34587/jsep.24.2_73

    • Open Access
  • [Presentation] A Practical Study on Teaching Strategies of Teachers Toward the Mid-career Phase :Targeting Elementary School Physical Education Classes2023

    • Author(s)
      山口孝治,高見仁志
    • Organizer
      33rd JUSTEC Conference 2023
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 現行学習指導要領を総括する ─知覚と感受について─2023

    • Author(s)
      齊藤忠彦,津田正之,高見仁志,菅裕
    • Organizer
      第54回日本音楽教育学会全国大会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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